級別だけで買い続けたら、どうなるか

選手 公開

競艇の選手には「級別」というランクがある。上からA1・A2・B1・B2の4段階で、成績によって半年ごとに見直される。YouTubeやSNSでは「B2級は人気薄だから配当が付きやすい、狙い目」という話をよく見かける。逆に「A1級を頭から買えば堅い」という話もある。

このツールの学習は一切使わず、級別という1つの情報だけで機械的に買い続けたら実際どうなるかを、2024年1月1日〜2026年9月9日の139,164レース(6艇とも完走したレースに限定)で数えた。結論から言うと、単勝で「級だけで買う」とB2級だけが際立って悪い。一方で3連単に近い買い方にすると、級による差はほとんど消える。

以下で使う回収率は、舟券に投じた金額に対して、払い戻された金額の割合を指す。100%で収支トントン、それ未満は損失である。


結論: 単勝はB2級だけが際立って悪い。3連単はどの級でも差がない

2つの機械的な買い方を試した。

  1. 単勝(枠不問): 出走する全艇のうち、racer_classがXの艇に単勝100円を買い続ける。1レースにX級の艇が複数いれば複数回買う。
  2. 3連単(1号艇固定・総流し20点): 1号艇を1着に固定し、2着・3着は残り5艇を総流し(5×4=20通り・2,000円)で買う。1号艇の級別だけで条件をそろえた。

B2級だけが際立って低い

出典: 自前DB 139,095レース分の全艇(単勝払戻あり)。2024-01-01〜2026-09-09・6艇完走のみ

単勝(枠不問)の回収率は、A1 70.9%・A2 72.4%・B1 67.4%・B2 37.1%。A1・A2・B1の3級は67〜72%にまとまっているのに、B2だけ37.1%まで落ちる。

1号艇の級別では、回収率はほぼ差がつかない

出典: 自前DB 139,091レース分の1号艇(3連単払戻あり)。2024-01-01〜2026-09-09・6艇完走のみ

一方、1号艇を1着に固定した3連単は、A1 71.8%・A2 69.9%・B1 70.3%・B2 71.1%で、4級ともほぼ同じ水準に収まる。級の違いが回収率に出るかどうかは、買い方によって答えが変わる。 どちらの買い方も、どの級であっても100%には届いていない(=損失が出る)。


後半で扱う内容

  1. なぜ単勝ではB2だけ悪いのか(的中率と配当の中身を分解する)
  2. 前半・後半に分けてもB2の低さが変わらないか(再現性の確認)
  3. なぜ3連単では級による差が消えるのか(1着率は2倍以上違うのに回収率がそろう理由)
  4. 測り方の詳細(母集団・買い方の定義)

潰した論点も、潰せていない論点も、そのまま書く。

なぜ単勝ではB2だけ悪いのか

的中率(単勝が当たる割合)を見ると、級が下がるほど素直に下がっていく。

級が下がるほど、単勝の的中率は素直に下がる

出典: 自前DB 139,095レース分の全艇(単勝払戻あり)。2024-01-01〜2026-09-09・6艇完走のみ

A1級の選手は27.3%(4回に1回以上)勝つが、B2級は4.6%(20回に1回もいかない)。ここまでは当然の結果に見える。

問題は、当たったときの配当がその差を埋め合わせているかどうかである。的中率が低い分、勝ったときの配当は大きくなるはずだ。実際に平均を取るとそうなっている。

勝ったときの配当は、級が下がるほど大きい

出典: 自前DB 139,095レース分の全艇(単勝払戻あり)。2024-01-01〜2026-09-09・6艇完走のみ・的中したレースのみで平均

B2級の選手が勝つと平均798円(100円が7.98倍)。A1級の260円(2.60倍)と比べると3倍以上の配当が付く。それでも回収率(的中率×配当)で見るとB2は他の3級より大きく劣る。 つまり、B2級選手が勝ったときの配当の大きさは、B2級選手がほとんど勝てないという事実を埋め合わせるには足りていない。

これは、賭けの市場でよく知られた「人気薄は過大評価されやすい」という傾向(favorite-longshot bias、本命は過小評価・大穴は過大評価されがちという経験則)と同じ形に見える。「人気薄だから配当が付きやすい、狙い目」という発想そのものが、統計的には裏目に出やすい構造だということになる。

前半・後半に分けても、B2の低さは変わらない

139,164レースをレース数で前半・後半に2等分し、同じ集計をやり直した。

期間を2つに割っても、B2の低さは変わらない

出典: 自前DB 139,095レース分の全艇(単勝払戻あり)。2024-01-01〜2026-09-09・6艇完走のみ

B2は前半36.97%→後半37.20%と、ほぼ同じ低さで再現した。B1は両期間ともA1・A2より下、B2より上という順位が保たれている。A1とA2だけは前半(A1が上)と後半(A2が上)で順位が入れ替わっており、この2つの差は誤差の範囲とみるべきである。 B2の低さだけは、期間を変えても崩れない。

なぜ3連単では級による差が消えるのか

1号艇を1着に固定した3連単は、単勝とは違う結果になった。

1着率は2倍以上違うのに、回収率はほぼ同じ

出典: 自前DB 139,091レース分の1号艇(3連単払戻あり)。2024-01-01〜2026-09-09・6艇完走のみ

1号艇の1着率(=このストラテジーの的中率)は、A1の71.3%からB2の34.3%まで2倍以上開いている。にもかかわらず、回収率は69.9%〜71.8%の狭い範囲に収まってしまう。的中率の差が、そのまま配当の大きさの差に置き換わり、回収率という掛け算の結果がそろっている。 前半・後半に分けても4級とも68.8%〜72.1%のレンジに収まり、順位もはっきりしない(A1が両期間とも1位に近いが、2位以下は入れ替わる)。

単勝(枠不問)ではB2だけ突出して悪かったのに、3連単(1号艇固定)ではB2が他の級と遜色ない数字になっている。この違いをどう読むかは1つに決めつけられない。1号艇という「勝ちやすい枠」に絞ったことで市場の価格付けがより効率的になった可能性もあれば、単に3連単ストラテジーのB2サンプル数が3,249件と他の級(37,815〜53,104件)より少なく、たまたまこの期間はブレが小さい側に出ただけの可能性もある。どちらかは今回のデータからは判別できない。

測り方の詳細数え方と対象の決め方。読まなくても本文の結論は変わりません
  • 母集団: race_result.rankが'01'〜'06'の数値として6艇すべて完走したレース。2024-01-01〜2026-09-09で139,164レース。集計の終端は2026-09-09に固定した(それより後のレースは執筆時点でまだ結果が出そろっていないため対象外)。
  • 単勝ストラテジーは「出走する全艇のうち、racer_classがXの艇に単勝を買う」という枠を問わない集計で、1レースあたり0〜6回のベットが発生する(1レースにA1が0艇の割合は22.8%、B2が0艇の割合は68.0%)。3連単ストラテジーは1号艇1艇だけを軸にした集計で、この2つは条件の異なる別々のストラテジーである(直接の優劣比較はできない)。
  • 3連単のストラテジーは、モデルの予測確率を使わず「1号艇を1着に固定し、2・3着を総流し(2〜6号艇の全20通り)で買う」という機械的なルールにした。1号艇が実際に1着になれば、その実際の配当をそのまま獲得できる。
  • race_result.rankはTEXT型で'01'のような文字列。整数として比較すると1件も一致しない罠がある(このプロジェクトで過去に実際に踏んだ)。今回はpd.to_numericで数値化してから判定した。
  • B2級のエントリ数(52,657件)はB1(380,831件)の7分の1程度しかない。B2の選手層自体が薄い(全エントリの6.3%)ため、B2級を含む集計はA1・A2・B1より母数が小さくなる点は割り引いて読む必要がある。

何が言えて、何が言えないか

言えるのは、「単勝を級別だけで機械的に買い続けるなら、B2級選手だけは他の3級よりはっきり悪い」ということである。「人気薄だから狙い目」という発想は、少なくともこの検証では裏付けられなかった。 言えないのは、1号艇に絞った3連単でも同じ傾向が出るかどうかである。今回の3連単は級による差がほとんど出なかったが、B2のサンプル数が少ないこともあり、この結果が今後も再現するかは分からない。

どの買い方・どの級であっても、回収率は100%を割っている。「級を選べば勝てる」という話には、今回の実測はつながらなかった。


免責

  • 本記事に記載した数値はすべて過去データに対する実測であり、将来の的中や利益を保証するものではありません。
  • 本記事および言及したツールは分析の補助を目的としており、舟券の購入を勧誘するものではありません。
  • 舟券は20歳未満の方は購入できません。
  • 舟券の購入は自己責任で、生活に必要な資金とは別の、余裕資金の範囲で行ってください。のめり込みには十分ご注意ください。

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