競艇の単勝オッズは締切前にどれだけ変動するか。締切5〜15分前の値が確定オッズの±10%以内に収まった艇は11.5%だった

オッズと回収率 公開

競艇のオッズは、投票の締切まで動き続ける。予想サイトや配信では「締切直前に1番人気が入れ替わった」「人気薄のオッズが急に下がった」という話をよく見る。

では、締切の少し前に見えるオッズは、確定オッズとどれくらい違うのか。このサイトでは2026年9月1日から、締切5〜15分前の単勝オッズを公式サイトから毎レース1回ずつ記録している。2026-09-01〜2026-10-30 の8,344レース分がたまったので、レース後の確定オッズ・実際の払戻と突き合わせた。モデルの予測は使っていない。

結論を先に書く。

  • 締切5〜15分前のオッズは、確定オッズとほとんど一致しない。 確定オッズが締切前の±10%以内に収まった艇は11.5%だった。1.5倍以上に上がるか3分の2以下に下がった艇は62.2%ある。上がる艇と下がる艇はほぼ半々(48.4%と48.8%)で、全体として一方向に動くわけではない。
  • 5〜15分前の範囲では、締切に近いほど確定に近い、とは言えない。 5〜7分前に撮った分でも、±10%以内は11.2%だった。
  • 枠で見ると向きがある。 6艇とも記録できた2,600レースでは、2〜4号艇は確定で下がり(中央値で0.80〜0.84倍)、6号艇は上がった(1.23倍)。1号艇は中央値で動かなかった。
  • 締切前のオッズで回収率を計算すると、実際とまるで違う数字になる。 締切前にオッズが表示されていた艇(31,032艇)をすべて買い、見えた倍率で払われたと仮定すると、その回収率(払戻÷購入額)は105.8%になる。実際の払戻では68.4%だった。舟券は締切後に決まる確定オッズで払い戻されるからである。
  • 締切前の1番人気を買うと87.3%、確定の1番人気は80.5%だった。 同じ2,454レースで、オッズを見ずに1号艇を買うと88.7%だった。どれも100%に届かない。締切前のオッズを見て買っても、1号艇を買い続けるのを上回る結果は出ていない。

データの中身: 締切5〜15分前に1回だけ記録したオッズと、確定オッズを比べた

何を記録しているか

このサイトの予想ツールは、開催時間中に定期的に公式サイト(boatrace.jp)の単勝・複勝オッズのページを読みに行く。そのとき、予定の締切まで5〜15分のレースだけを選んで、表示されていた単勝オッズを保存している。テーブル名は race_win_odds_snapshot である。

  • 期間: 2026-09-01〜2026-10-30。記録を始めたのが9月1日の夜なので、これより前のデータは無い。2か月分である。
  • 対象: 8,344レース・38,438行。同じ期間に単勝の払戻があったレース(9,170)の91.0%にあたる。9月1日(5レース)、9月20日(50)、10月15日(23)は記録が少ない。
  • 1レース1回: 8,344レースのうち8,340レースは1回しか記録していない。2回が3レース、3回が1レースで、この4レースは締切に一番近い1回だけを使った。同じレースのオッズを時間を追って見たわけではない。 「5分前に撮ったレース」と「14分前に撮ったレース」は別のレースである。
  • 締切までの残り時間(mins_to_deadline): NULL の行は0件だった。値は4.8〜14.7分。番組表の予定の締切時刻から記録した時刻を引いた値なので、締切が遅れたレースでは実際の残り時間より短く出ている。遅れの有無は確かめていない。4.8〜4.99分の10件は、5分以上前に選んだあと読み込みが5分を切ったもので、「5〜7分前」に含めた。

比べる相手は2つある。

  • 確定オッズ(race_win_odds): 同じページをレース後に読んだ値。8,344レースのうち6,690レースにある。9月18〜20日、9月26〜27日、10月4日、10月11日、10月25日、10月30日の9日分は取れていない(欠けは計1,654レースで、この9日分以外にも散っている)。確定オッズが無い10月30日の分は入らないので、オッズの動きを比べる集計は実質10月29日までで、対象はこの6,690レースになる。
  • 払戻(race_payout): 公式の単勝払戻。回収率はすべてこの実額で計算した。

単勝・オッズ・払戻率

  • 単勝: 1着の艇を当てる舟券。
  • オッズ: 当たったとき100円が何円になるかを100で割った値。舟券は、全員の投票を集めて、そこから一定の割合を引いた残りを当たった人で分ける。そのため、オッズは投票が入るたびに動き、払戻は締切後に決まる確定オッズで決まる。このDBでも、確定オッズ×100と実際の払戻は7,312レース中7,216レース(98.7%)で一致した。
  • 払戻率: 1 ÷(各艇の 1/オッズ の合計)で計算した、投票のうち払い戻しに回る割合。確定オッズでは中央値0.736、締切前のオッズでも0.738だった(1.0倍の艇を含むレースを除いた1,721レース)。締切前のオッズも、表示の時点では払戻率がそろった「その時点の正しい計算結果」になっている。

6艇そろわない記録が多い

締切5〜15分前の記録では、6艇すべてにオッズの数字があったのは3,120レース(37.4%)だけだった。残りは1〜5艇分しか数字が無い。

締切まで レース 数字があった艇(平均) 6艇そろった割合
5〜7分前 1,646 5.03 49.3%
7〜9分前 1,587 4.85 43.0%
9〜11分前 1,624 4.57 36.9%
11〜13分前 1,601 4.33 29.4%
13〜15分前 1,886 4.29 29.5%

2026-09-01〜2026-10-30・8,344レース。締切に近いほど6艇そろう。

欠けた艇は人気薄に偏っていた。欠けた11,653艇の確定オッズの中央値は15.5倍で、数字があった艇の6.6倍より高い。1着率も5.9%と、数字があった艇の19.9%より低い。6号艇が3,163艇で最も多く、1号艇は233艇だけだった。

記録のプログラムは「0より大きい数字」だけを保存する。発売前のページを1回読むと、全艇が「0.0」と表示されていた。欠けた艇も0.0表示だった可能性が高いが、記録が残っていないので確かめていない。欠けのあるレースでも、残りの艇だけで払戻率がほぼ閉じる(中央値0.747)。まだ投票が入っていない艇が0.0になっている、という見方と矛盾はしない。

もう1つ、1.0倍の表示が多い。1.0倍は単勝の表示の下限である。締切前の記録では艇の8.8%が1.0倍で、1.0倍の艇を含むレースは40.7%あった。確定オッズでは艇の2.2%だった。締切5〜15分前は、単勝の投票がまだ少ない時間帯だと考えられる。

この2つの事情があるので、以下では全艇の集計と6艇そろったレースだけの集計を必要に応じて並べる。


締切5〜15分前のオッズは、確定オッズとほとんど一致しない

締切前と確定の両方にオッズがある31,151艇(6,690レース)で、「確定オッズ ÷ 締切前のオッズ」を計算した。1なら動いていない。0.5なら確定で半分に下がった。2なら2倍に上がった。

確定オッズ÷締切5〜15分前のオッズの分布

2026-09-01〜2026-10-30・確定オッズのある6,690レース・31,151艇。

指標 全艇(6,690レース) 6艇そろったレース(2,600)
確定÷締切前の中央値 1.00 0.95
確定で下がった艇 48.8% 52.1%
確定で上がった艇 48.4% 45.7%
まったく同じ 2.8% 2.3%
±10%以内に収まった 11.5% 11.9%
1.5倍以上 or 3分の2以下に動いた 62.2% 59.2%

±10%以内に収まったのは9艇に1艇ほどだった。2倍以上に上がった艇が18.6%、半分未満に下がった艇が23.4%ある。中央値は1.00で、上がる艇と下がる艇はほぼ同じ数である。全体として一方向にずれるのではなく、艇ごとに大きく上下に動く。

9月と10月に分けても同じだった。±10%以内は9月11.9%(3,234レース)、10月11.1%(3,456レース)。大きく動いた艇は61.3%と63.0%である。

5〜15分前の範囲では、締切に近いほど確定に近い、とは言えない

締切まで何分の時点で記録したかで分けた。

締切まで レース ±10%以内 1.5倍以上 or 2/3以下 中央値
5〜7分前 1,296 11.2% 60.7% 0.96
7〜9分前 1,300 11.5% 62.0% 1.00
9〜11分前 1,312 12.2% 61.9% 1.00
11〜13分前 1,266 11.4% 63.3% 1.00
13〜15分前 1,516 11.1% 63.2% 1.00

2026-09-01〜2026-10-30・確定オッズのある6,690レース。

大きく動いた艇の割合は、13〜15分前の63.2%から5〜7分前の60.7%へ、2.5ポイントしか減らない。6艇そろったレースだけでも、61.0%(13〜15分前)から57.2%(5〜7分前)である。5分前の時点でも、確定とのずれは15分前とほとんど変わらない。

この記録には締切5分前より後のオッズが無い。確定に近づくのが締切直前の数分なのかどうかは、このデータでは測れない。

枠で見ると、2〜4号艇は下がり、6号艇は上がる

6艇とも締切前のオッズが取れて、確定オッズもある2,600レースで、枠ごとに「確定÷締切前」の中央値を出した。

枠ごとの確定÷締切前(中央値)

2026-09-01〜2026-10-30・6艇とも締切前・確定の両方のオッズがある2,600レース。

枠 中央値 下がった 上がった 9月 10月
1号艇 1.00 41.9% 48.0% 1.00 1.00
2号艇 0.80 61.0% 37.9% 0.80 0.80
3号艇 0.83 59.2% 39.7% 0.83 0.83
4号艇 0.84 58.4% 41.0% 0.81 0.86
5号艇 0.97 51.0% 48.6% 0.95 1.02
6号艇 1.23 40.8% 58.6% 1.15 1.31

2〜4号艇は確定で2割ほど下がる。6号艇は2割ほど上がる。9月と10月で向きは同じだった。締切前の時点では2〜4号艇が少なめに、6号艇が多めに買われていて、締切までにそれが入れ替わる、という形である。なぜそうなるのか(誰がいつ買っているのか)は、公開データからは分からない。

1号艇の「動かない(1.00)」には注意が要る。締切前に1.0倍と表示された1号艇は、表示の下限なのでそれより下がれない。締切前・確定とも1.0倍より大きい艇だけで数え直すと、1号艇の中央値は0.92になり、少し下がる側だった。2〜6号艇は、1.0倍の艇を除いても中央値がほとんど変わらなかった(0.80〜1.23)。

また、この2,600レースは「締切前に6艇とも投票が入っていた」レースで、全体(6,690)より締切に近い時刻に記録したものが多い(上の表)。全レースに同じ傾向があるかは確かめていない。

「人気薄のオッズは締切前に下がる」は、半分は分け方で作られる

よく言われる「人気薄は締切前に売れてオッズが下がる」を確かめた。ここには測り方の落とし穴がある。

倍率帯 締切前の倍率で分けた場合 確定の倍率で分けた場合
2倍未満 1.30 1.00
2〜5倍 1.36 0.82
5〜10倍 1.09 0.84
10〜20倍 0.77 1.04
20〜50倍 0.44 1.57
50倍以上 0.21 3.46

値は確定÷締切前の中央値。2026-09-01〜2026-10-30・6,690レース・31,151艇。

締切前の倍率で分けると、締切前に50倍以上だった艇は確定で5分の1(0.21)まで下がる。人気薄は下がる、と読める。同じ艇を確定の倍率で分けると、確定で50倍以上の艇は締切前より3.46倍に上がっている。今度は「人気薄はさらに上がる」と読める。

両方が同時に成り立つのは、オッズが上下に大きくぶれているからである。締切前に50倍以上と表示された艇には、たまたま高く表示されていた艇が多く混ざる。そういう艇は確定で下がる。確定で50倍以上の艇には、締切前にたまたま低く表示されていた艇が混ざる。どちらの時点の倍率で分けるかで、向きが逆になる。 統計では「平均への回帰」と呼ぶ現象である。

締切前の人気順で分けても同じことが起きる。6艇そろった2,600レースで、締切前の1番人気は確定で中央値1.18倍に上がり(上がったのは63.5%)、6番人気は0.67倍に下がった。

「人気薄が下がる」かどうかを言うには、倍率で分けない比べ方が要る。上の枠別の比較は、レース前から決まっている枠で分けたので、この落とし穴に入らない。枠で見る限り、6号艇はむしろ上がる側だった。

1番人気は4レースに1回入れ替わる。確定オッズの方が結果をよく言い当てる

6艇そろった2,600レースのうち、締切前と確定の両方で1番人気が1艇に決まる2,469レースを見た。616レース(25.0%)で、締切前と確定の1番人気が別の艇だった。 1番人気が1号艇だった割合は、締切前78.4%、確定80.8%である。

どちらのオッズが結果をよく言い当てるかも比べた。各レースのオッズを確率に直し(1/オッズ をレース内で合計1にそろえる)、1着になった艇にどれだけの確率が付いていたかを見る。指標は対数損失(1着になった艇に付いていた確率の、−log の平均。小さいほどよく言い当てている)を使った。返還のない2,558レースが対象である。

締切前のオッズ 確定オッズ
対数損失 1.350 1.238
1番人気の1着率 54.3% 57.2%

差は0.113で、レース単位で引き直した95%の幅は0.086〜0.140だった。確定オッズの方が、はっきり結果をよく言い当てる。 締切前の5〜15分に入る投票が、結果に関係のある情報を含んでいるか、単に投票が増えてぶれが減っただけか。このデータでは区別できない。

締切前に見えた倍率で回収率を計算すると105.8%、実際は68.4%

ここが、この記事でいちばん伝えたい部分である。

舟券は、いつ買っても確定オッズで払い戻される。締切10分前に「30倍」と表示されていた艇を買っても、確定で12倍になれば払戻は1,200円である。

それでも、締切前に見えた倍率をそのまま使って回収率を計算すると、どうなるか。締切前の倍率帯ごとに、「見えた倍率で払われたと仮定した回収率」と「実際の払戻での回収率」を並べた。

締切前の倍率帯ごとの単勝回収率(仮定と実際)

2026-09-01〜2026-10-30・6,688レース・31,032艇(フライング・欠場などで返還された艇は購入に含めない)。

締切前の倍率帯 購入 的中率 実際の回収率 締切前の倍率で払われたと仮定
2倍未満 5,981 54.6% 91.0% 64.2%
2〜5倍 6,379 22.0% 79.5% 69.2%
5〜10倍 6,298 11.4% 70.1% 79.3%
10〜20倍 6,006 7.4% 54.2% 100.1%
20〜50倍 4,696 5.5% 50.1% 163.5%
50倍以上 1,672 3.8% 42.1% 353.1%
全艇 31,032 19.8% 68.4% 105.8%

締切前に10倍以上と表示されていた艇は、見えた倍率で計算すると100〜353%になる。実際の払戻では42〜54%だった。全艇でも、仮定では105.8%、実際は68.4%である。9月(仮定104.5%・実際65.9%)と10月(107.1%・70.9%)に分けても同じ形になった。確定オッズの無いレースも含めた8,339レース・38,247艇で計算しても、仮定105.6%・実際69.1%だった。

締切前の高い倍率は、当たったときほど確定で下がっている。 前の節で見たとおり、締切前に高く表示された艇には「たまたま高く出ていた」艇が多く混ざり、その多くは確定までに下がる。

このプロジェクトの別の検証でも、同じ形の問題が出ている。モデルの勝率×オッズで「割に合う艇」を選ぶ方法は、確定オッズで選ぶと良い数字が出るが、締切前のオッズで選ぶと100%を割った(docs/03_findings.md の §7)。割安に見える艇を選ぶと、まだ投票が入りきっていない=これから下がる艇を選んでしまう、という結論だった。今回の集計は、選び方を使わない全艇の集計でも、締切前の倍率が実際の払戻を大きく上回って見えることを示している。

なお「2倍未満」だけは逆で、仮定の64.2%より実際の91.0%の方が高い。締切前に2倍未満と表示された艇は、確定で上がりやすい(中央値1.30倍)。1.0倍と表示されていた2,715艇の82.7%、1.1倍以上2倍未満の3,297艇の67.5%が確定で上がった。これも「人気薄」の節で見た平均への回帰と同じ形である。

締切前の1番人気を買うと87.3%、確定の1番人気は80.5%。1号艇は88.7%

最後に、1番人気を1点ずつ買う場合を比べた。6艇そろい、締切前と確定の両方で1番人気が1艇に決まり、返還・不成立のない2,454レースで、3つの買い方を同じレースに当てた。

同じ2,454レースで単勝を1点ずつ

2026-09-01〜2026-10-30・2,454レース。

買い方 的中率 回収率
締切前の1番人気 54.6% 87.3%
確定の1番人気 57.7% 80.5%
1号艇(オッズを見ない) 57.1% 88.7%

締切前の1番人気の方が、確定の1番人気より6.8ポイント高かった(95%の幅は+2.3〜+11.5ポイント)。9月は87.5%と84.6%(1,188レース)、10月は87.1%と76.7%(1,266レース)で、向きはそろっている。

差が出ているのは、1番人気が入れ替わった611レースである。

1番人気が入れ替わった611レース 的中率 回収率 確定オッズ(中央値) 締切前のオッズ(中央値)
締切前の1番人気 27.0% 95.0% 3.6倍 1.8倍
確定の1番人気 39.6% 67.9% 1.7倍 4.2倍

1番人気が変わらなかった1,843レースでは、どちらも同じ艇なので84.7%で同じになる。入れ替わったレースでは、締切までに投票が集まって1番人気になった艇の回収率が67.9%と低く、1番人気から外れた艇は95.0%だった。

ここから「締切前の1番人気を買えばよい」とは言えない。理由は3つある。

  1. 1号艇を買うだけで88.7%だった。 締切前のオッズを見て選んだ87.3%は、オッズを見ない1号艇買いを上回っていない。
  2. どれも100%に届いていない。
  3. 「入れ替わったレース」は締切後にしか分からない。 入れ替わった611レースだけで見ると、10月の締切前の1番人気は104.7%(340レース)になる。しかし9月は82.9%(271レース)で、そもそも買う時点で「このレースは入れ替わる」とは分からない。2か月・611レースの中の、さらに1か月分の数字である。この記事の中で良く見える数字を1つ選んだもので、根拠にはならない。

締切直前に投票が集まった艇が割高になるのかもしれない。だが、2か月・2,454レースの観測で、理由は確かめていない。

確定オッズと、最後に記録した締切前オッズのずれ

勝った艇について、最後に記録した締切前のオッズ×100 と実際の払戻を比べた。7,651レースのうち、ぴったり一致したのは721レース(9.4%)だった。払戻の方が低かったのが41.1%、高かったのが49.5%である。締切5〜15分前に見たオッズは、10回に9回は払戻と違う。

確定オッズ(race_win_odds)と払戻は98.7%で一致した。一致しなかった96レースは、すべて返還(フライング・欠場など)の艇があったレースで、払戻の方が低かった(確定オッズ×100に対して中央値0.79倍)。返還艇のあるレースで一致したのは20レースだけである。返還があると払戻が計算し直される仕組みと整合するが、公式の計算の決まりは確認していない。

この記事で測れなかったこと

  • 締切5分前から締切までの動き。 記録の窓は5〜15分前だけで、それより後のオッズは無い。「締切直前にどれだけ動くか」は、この記事の範囲の外である。
  • 同じレースの中での時間変化。 1レースにつき1回しか記録していない(複数回は4レースだけ)。残り時間別の比較は、別々のレースどうしの比較である。
  • 欠けた艇の表示。 0.0表示だったのか、別の表示だったのかは記録が無い。
  • 締切の遅れ。 残り時間は予定の締切時刻から計算した。
  • 期間の短さ。 収集を始めたのが2026年9月なので、2か月分しかない。季節や年をまたいで同じかは分からない。
  • 誰がいつ買っているか。 大口の投票や締切直前の投票の中身は、公開データに無い。
  • 単勝以外。 3連単などの締切前オッズは記録していない。
測り方の詳細数え方と対象の決め方。読まなくても本文の結論は変わりません
  • 集計期間: 2026-09-01〜2026-10-30(執筆日 2026-10-31 の前日まで)。SQL では substr(race_id,1,8) <= '20261030' を明示した。2026-10-30 より後の行は0件だった。
  • 締切前オッズ: race_win_odds_snapshot。8,344レース・38,438行。1レースに複数回あるときは締切に近い1回。
  • 確定オッズ: race_win_odds。動きの比較は、締切前と確定の両方が0より大きい31,151艇(6,690レース)。
  • 6艇そろったレース: 締切前・確定とも6艇にオッズがある2,600レース。
  • 回収率: 単勝100円ずつ買ったときの、払戻(race_payout の実額)÷購入額。フライング・出遅れ・欠場で返還される艇は購入に含めない。不成立(着順 '00')のあるレースと単勝払戻の無いレースは除いた。単勝の同着は期間内に無かった。
  • 区間の境目: 残り時間は「5分以上7分未満」のように左を含み右を含まない。倍率帯も同じ(「2〜5倍」は2.0倍以上5.0倍未満)。
  • 95%の幅: レースを単位に2,000回引き直した(ブートストラップ)。
  • 集計スクリプトは articles/_work/i20_calc.py・i20_calc_extra.py・i20_calc_extra2.py、計算ログは articles/_work/i20_calc.md。

まとめ

  • 締切5〜15分前の単勝オッズは、確定オッズの目安にならない。 ±10%以内に収まった艇は11.5%。62.2%は1.5倍以上か3分の2以下に動いた。上がる艇と下がる艇はほぼ半々。
  • 5〜15分の範囲では、締切に近くても確定に近づかない。 5〜7分前でも±10%以内は11.2%。
  • 枠で見ると、2〜4号艇は確定で2割ほど下がり、6号艇は2割ほど上がる。 9月・10月とも同じ向き。
  • 「人気薄が下がる」は、締切前の倍率で分けると必ずそう見える。 確定の倍率で分けると逆向きになる。
  • 確定オッズの方が結果をよく言い当てる。 1番人気は4レースに1回入れ替わる。
  • お金の面: 締切前にオッズが表示されていた艇をすべて買ったと仮定して締切前の倍率で計算すると回収率105.8%に見えるが、実際の払戻では68.4%。締切前の1番人気87.3%・確定の1番人気80.5%・1号艇88.7%で、どれも100%に届かない。

「締切前のオッズで期待値を計算して買う」という考え方は自然に見える。だが、そのオッズは払戻を決める数字ではない。実測では、締切前に高く見えた倍率ほど、確定で下がっていた。オッズを使った計算を見かけたら、それが締切前の値か確定の値かをまず確かめるとよい。


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