競艇でマーチンゲール(倍賭け)を続けると何レースで破産するか。単勝1号艇・元手10万円で中央値1,847レース、回収率は91.3%のままだった
マーチンゲール法は、外れたら次の賭け金を2倍にし、当たったら元の金額に戻す賭け方である。「何連敗しても、1回当たれば負けを取り戻せる」と紹介されることが多い。
本当に取り戻せるのか。取り戻せないなら、何レースで資金が尽きるのか。このサイトのデータベースから 2024-01-01〜2026-10-31 の 157,138 レース(単勝・複勝・3連単の払戻がそろうレース)の実際の払戻を取り出した。その配当の分布で、資金の動きを1万回ずつシミュレーションした。予想モデルは使っていない。1号艇を買う、1番人気を買う、という機械的な買い方だけである。
結論を先に書く。
- 賭け方を変えても、回収率は変わらない。 単勝1号艇を毎回100円で買うと、賭け金1円あたりの戻り(回収率)は91.2%。倍賭けにしても91.3%、取り戻し型にしても91.6%だった。3つの買い方×4つの規則×3つの元手の36通りすべてで75.8〜94.4%に収まり、100%を超えたものは1つもない。
- 単勝1号艇を倍賭けで続けると、元手10万円が尽きるまでの中央値は1,847レース。 中央値は、1万回を短い順に並べてちょうど真ん中の値である(半分はそれより早く、半分は遅く破産した)。1,000レースまでに29.5%が破産した。毎回100円の定額なら中央値11,266レースまでもつが、こちらも2万レースまでに全員が元手を失った。
- 倍賭けで負けを取り戻せない理由は配当にある。 単勝1号艇の当たりの79.5%は2倍未満だった。1.4倍(中央値)で当たる場合、1回外れたあとに当たっても収支は−20円になる。
- 「次に当たれば取り戻せる額」まで賭け金を上げる取り戻し型は、元手10万円で中央値74レースで破産した。
- 途中では「勝っている人」が多数に見える。 単勝1号艇の取り戻し型を元手100万円で始めると、100レース時点では60.7%が元手より増えている。それでも平均の損益は−27,630円だった。
- 実際のレースの並び順で回すと、破産はもっと早い。 単勝1号艇の倍賭け(元手10万円)は、1,000レースまでの破産が復元抽出では29.5%、実際の並び順では46.0%だった。
この記事で回したマーチンゲールの前提
条件によって結果は大きく変わる。先に前提をすべて書く。
賭ける対象(3つ)
| 買い方 | 中身 | 選んだ理由 |
|---|---|---|
| 複勝 1号艇 | 毎レース、1号艇の複勝(2着以内で当たり)を買う | 的中率がいちばん高い |
| 単勝 1号艇 | 毎レース、1号艇の単勝(1着で当たり)を買う | 的中率が5割を超え、倍賭けと組み合わされやすい |
| 3連単 1番人気 | 毎レース、3連単の1番人気の組を1点買う | 配当が高く、倍賭けで取り戻しやすい形 |
3連単の1番人気は、締切時点のオッズで決まった人気で数えた。締切前のオッズは締切までに動くので、レース前に「どれが1番人気で確定するか」を確実には知れない。この買い方は、実際には同じとおりには買えない点に注意してほしい。
賭け金の規則(4つ)
基本の賭け金は100円。賭け金は100円単位にした。
| 規則 | 外れたとき | 当たったとき |
|---|---|---|
| 定額(比較用) | 次も100円 | 次も100円 |
| 倍賭け(上限なし) | 次は2倍 | 100円に戻す |
| 倍賭け・打ち切り | 次は2倍。ただし6,400円(7回目)でも外れたら諦めて100円に戻す | 100円に戻す |
| 取り戻し型 | 次に当たれば「この連敗の負け+100円」が戻る最小の賭け金 | 100円に戻す |
- 当たりには、払戻100円(1.0倍、元返し)も含めた。当たれば100円に戻す。
- 1号艇が欠場(フライング・出遅れ・欠場)して返還になったレースは、同じ金額のまま次へ進む。
- 取り戻し型の「次に当たったときの倍率」は、レース前には分からない。そこで、当たったときの倍率の中央値(複勝1.1倍・単勝1.4倍・3連単6.7倍)で当たると見込んで賭け金を決めた。中央値は全期間のデータから取っている。あとから分かる値を使っているので、実際に使える値で決めた場合より、この規則に有利に出ている可能性がある。
元手・破産・払い戻し
- 元手: 1万円・10万円・100万円の3通り。
- 破産: 規則どおりの次の賭け金が、手元の資金を上回った時点。そこで賭けを止める(残った資金は手元に残る)。定額なら、資金が100円を切った時点。
- 払い戻し: 実際に支払われた払戻金(データベースの払戻テーブル)をそのまま使った。オッズからの計算はしていない。
- シミュレーション: 157,138 レースの結果から、1レースずつランダムに選び直して並べた(復元抽出: 同じレースを何度選んでもよい引き方)。1つの設定につき10,000本、1本につき最大20,000レース。乱数の種(シード)は51に固定した。
土台: 3つの買い方は、どれも回収率100%に届いていない
まず、賭け方の工夫をしない状態の数字を出す。回収率は、舟券に使った金額に対して戻ってきた払戻の割合である。100%で収支トントン、それ未満は損になる。
| 買い方 | 的中率 | 回収率 | 当たったときの倍率(中央値) | 当たりのうち2倍未満 | 前半 / 後半の回収率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 複勝 1号艇 | 72.6% | 94.0% | 1.1倍 | 92.4% | 94.3% / 93.8% |
| 単勝 1号艇 | 55.1% | 91.2% | 1.4倍 | 79.5% | 91.3% / 91.1% |
| 3連単 1番人気 | 10.6% | 76.9% | 6.7倍 | 0.0% | 77.5% / 76.3% |
2024-01-01〜2026-10-31 の 157,138 レース。的中率は返還を除いたレースで数えた。前半・後半はレース数で2つに分けた。
3つとも100%に届かない。期間を前半と後半に分けても、どれも1ポイント以内でしか動かない。次の節から、この損が賭け方でどう変わるかを数える。
倍賭けで取り戻せない理由: 単勝1号艇の当たりの8割は2倍未満
倍賭けで「1回当たれば取り戻せる」のは、当たったときの倍率が2倍以上ある場合だけである。100円、200円、400円と賭けて3連敗したあと、800円が2倍で当たれば1,600円が戻る。賭けた合計は1,500円なので、100円の得になる。
ところが単勝1号艇の当たりは、多くが2倍未満だった。

2024-01-01〜2026-10-31 の 157,138 レースのうち、1号艇が1着になり単勝が当たった85,938回の払戻の内訳。1.0倍(元返し)だけで16.5%ある。単勝の「特払い」(1号艇は2着で、70円だけ戻った1レース)は当たりに数えていない。
当たったときの倍率の中央値は1.4倍である。1.4倍で当たり続けたとすると、倍賭けの収支はこうなる。
| 連敗数 | 当たった回の賭け金 | それまでに賭けた合計 | 払戻 | この一巡の収支 |
|---|---|---|---|---|
| 0 | 100円 | 100円 | 140円 | +40円 |
| 1 | 200円 | 300円 | 280円 | −20円 |
| 2 | 400円 | 700円 | 560円 | −140円 |
| 3 | 800円 | 1,500円 | 1,120円 | −380円 |
| 4 | 1,600円 | 3,100円 | 2,240円 | −860円 |
| 5 | 3,200円 | 6,300円 | 4,480円 | −1,820円 |
1回でも外れると、そのあと当たっても負けが残る。 連敗が長いほど、当たったときに残る負けも大きくなる。倍賭けは「取り戻す仕組み」ではなく、単勝1号艇では「負けを大きな金額で確定させる仕組み」になっている。
これを避けようとして、2倍ではなく「当たれば取り戻せる額」まで賭け金を上げたのが取り戻し型である。単勝1号艇なら、1.4倍で取り戻すには負けの2.5倍を賭ける必要がある。複勝1号艇(中央値1.1倍)なら10倍になる。賭け金の上がり方がずっと急になる。
何レースで破産するか: 元手10万円で、倍賭けは1,847レース・取り戻し型は74レース
元手10万円で、12通り(3つの買い方×4つの規則)の破産までのレース数を比べた。

2024-01-01〜2026-10-31 の 157,138 レースの実測配当から復元抽出し、各設定1万回ずつ回した。オレンジは比較用の定額100円。
| 買い方 | 規則 | 1,000レースまでに破産 | 破産までのレース数(中央値) | 最後の平均損益 | 賭け金1円あたりの戻り |
|---|---|---|---|---|---|
| 複勝 1号艇 | 定額100円 | 0.0% | 16,528回 | −99,194円 | 94.0% |
| 複勝 1号艇 | 倍賭け(上限なし) | 0.6% | 10,002回 | −96,041円 | 94.1% |
| 複勝 1号艇 | 倍賭け・打ち切り | 0.0% | 10,131回 | −98,254円 | 94.0% |
| 複勝 1号艇 | 取り戻し型 | 99.9% | 46回 | −6,925円 | 94.4% |
| 単勝 1号艇 | 定額100円 | 0.0% | 11,266回 | −99,949円 | 91.2% |
| 単勝 1号艇 | 倍賭け(上限なし) | 29.5% | 1,847回 | −73,866円 | 91.3% |
| 単勝 1号艇 | 倍賭け・打ち切り | 0.3% | 3,475回 | −97,445円 | 91.2% |
| 単勝 1号艇 | 取り戻し型 | 99.2% | 74回 | −22,854円 | 91.6% |
| 3連単 1番人気 | 定額100円 | 0.0% | 4,272回 | −99,954円 | 77.0% |
| 3連単 1番人気 | 倍賭け(上限なし) | 100.0% | 14回 | −37,009円 | 78.9% |
| 3連単 1番人気 | 倍賭け・打ち切り | 96.1% | 198回 | −97,698円 | 77.0% |
| 3連単 1番人気 | 取り戻し型 | 87.6% | 302回 | −88,986円 | 77.2% |
「最後の平均損益」は、破産した本はその時点、破産しなかった本は2万レース時点の損益の平均。
読み取れることは3つある。
- どの規則でも、いつかは破産する。 定額100円がいちばん長くもつが、10万円の元手は単勝1号艇で中央値11,266レース、複勝1号艇で16,528レースで尽きた。どちらも2万レースまでには9割以上が破産した(単勝100.0%、複勝91.6%)。
- 倍賭けは破産を早める。 単勝1号艇なら、定額の11,266レースが倍賭けで1,847レースになる。元手10万円で続けて賭けられるのは100円から25,600円までの9回(合計51,100円)で、10回目の51,200円は残りの48,900円では出せない。元手が減っていなくても、9連敗すれば破産である。
- 配当が高い3連単でも、倍賭けは向かない。 3連単1番人気の当たりは99%以上が2倍以上なので、当たれば取り戻せる。ただし的中率が10.6%しかなく、連敗がすぐに9回に届く。元手10万円の倍賭けは中央値14レースで破産した。これは3連単に限らない。返還を除けば、回収率は「的中率×当たったときの平均倍率」なので、回収率が100%未満の買い目で平均倍率が2倍以上なら、的中率は5割を下回る。2倍以上の買い目は、当たれば取り戻せる代わりに連敗が増える。
元手を変えても、結論は変わらない
単勝1号艇の倍賭けで比べる。
| 元手 | 1,000レースまでに破産 | 2万レースまでに破産 | 最後の平均損益 | 定額100円の最後の平均損益 |
|---|---|---|---|---|
| 1万円 | 96.2% | 100.0% | −6,406円 | −9,949円 |
| 10万円 | 29.5% | 99.8% | −73,866円 | −99,949円 |
| 100万円 | 1.6% | 45.0% | −555,383円 | −175,476円 |
元手を増やすと破産までは長くなる。その代わり、賭ける金額が大きくなる。元手100万円では、倍賭けの賭け金が1回で20万円を超える場面が出る(最大賭け金の中央値204,800円)。2万レース後の平均損益は−555,383円で、定額100円で同じ2万レースを買った場合(−175,476円)の3倍以上を失った。
賭け方を変えても、賭け金1円あたりの戻りは同じ
12通りの規則で、賭けた金額の合計と戻ってきた払戻の合計を比べた。

2024-01-01〜2026-10-31 の 157,138 レース・元手10万円・各1万回の合計。
単勝1号艇は、定額91.2%・倍賭け91.3%・打ち切り91.2%・取り戻し型91.6%。複勝1号艇も3連単1番人気も、規則による差は2ポイント以内だった。元手1万円・100万円を含めた36通りすべてで75.8〜94.4%に収まり、100%を超えたものはない。
理由は単純である。1レースごとの当たりやすさと配当は、そのレースにいくら賭けたかでは変わらない。100円を賭けても1万円を賭けても、1円あたりの戻りは同じ91%前後になる。賭け金の決め方で変えられるのはどのレースにいくら賭けるかの配分だけで、1円あたりの戻りは変えられない。
そのため、損の大きさは「賭けた金額の合計」でほぼ決まる。 単勝1号艇(元手10万円)の場合、平均の賭け総額は定額が約113.7万円、倍賭けが約84.5万円だった。それぞれに「1−回収率」を掛けると約10.0万円・約7.4万円になり、上の表の平均損益(−99,949円・−73,866円)とほぼ一致する。倍賭けの平均損益が定額より小さく見えるのは、早く破産して賭けを止めた(賭け総額が小さかった)からである。
途中では「勝っている人」が多く見える
シミュレーションの途中で、元手より資金が増えている割合を数えた。
| 買い方・規則・元手 | 時点 | 元手より増えている割合 | 損益の中央値 | 損益の平均 |
|---|---|---|---|---|
| 単勝1号艇・定額100円・10万円 | 100レース | 19.5% | −940円 | −893円 |
| 単勝1号艇・定額100円・10万円 | 1,000レース | 0.8% | −8,800円 | −8,766円 |
| 単勝1号艇・倍賭け・10万円 | 100レース | 41.1% | −900円 | −2,868円 |
| 単勝1号艇・倍賭け・10万円 | 1,000レース | 22.4% | −22,705円 | −24,734円 |
| 単勝1号艇・取り戻し型・100万円 | 100レース | 60.7% | +9,595円 | −27,630円 |
| 単勝1号艇・取り戻し型・100万円 | 1,000レース | 20.0% | −351,915円 | −144,970円 |
| 3連単1番人気・取り戻し型・100万円 | 300レース | 62.5% | +13,500円 | −91,598円 |
| 3連単1番人気・取り戻し型・100万円 | 1,000レース | 48.0% | −17,290円 | −275,634円 |
2024-01-01〜2026-10-31 の 157,138 レースの実測配当から、各設定1万回。
単勝1号艇の取り戻し型(元手100万円)では、100レースの時点で6割が勝っていて、損益の中央値も+9,595円である。ところが平均は−27,630円になる。小さく勝つ人が多数いて、大きく負ける人が少数いる。 少数の負けが、多数の勝ちの合計より大きい。
これがマーチンゲールの形である。100レースで止めた人の6割は「勝てた」と感じる。ただ、それは長い連敗をまだ引いていないだけである。1,000レースまで続けると、勝っている人は20.0%まで減る。
連敗はどれくらい起きるか: 単勝1号艇で9連敗以上が129回
元手10万円の倍賭けは、9連敗で破産する。実際のレースでは、どれくらいの頻度で9連敗が起きているのか。会場ごとにレースを日付・R番号の順に並べ、1号艇の単勝が何回続けて外れたかを数えた。

2024-01-01〜2026-10-31 の 157,138 レース。返還になったレースは飛ばして数えた(賭けた回数155,998回)。
| 買い方 | 賭けた回数 | 5連敗以上 | 7連敗以上 | 9連敗以上 | 10連敗以上 | 最長 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 複勝 1号艇 | 155,998 | 333回 | 32回 | 5回 | 2回 | 11連敗 |
| 単勝 1号艇 | 155,998 | 2,183回 | 536回 | 129回 | 61回 | 16連敗 |
| 3連単 1番人気 | 157,138 | 9,382回 | 7,589回 | 6,039回 | 5,383回 | 92連敗 |
単勝1号艇の9連敗以上は、約2年10か月の間に24会場の合計で129回あった。1会場あたり5回ほどになる。的中率が55%あっても、9連敗は珍しい出来事ではない。
3連単1番人気は、最長92連敗だった。倍賭けで92連敗を耐えるには、およそ100円×2の92乗の資金が要る。現実の金額ではない。
実際の並び順で回すと、破産はもっと早い
ここまでのシミュレーションは、157,138 レースから1レースずつランダムに選び直していた。そのため、「外れが続きやすい時期」のような並びの偏りは消えている。
そこで、会場ごとに実際の並び順(日付→R番号)のままマーチンゲールを回した。開始点は、各会場の各開催日の最初のレースにした(3,000レース先までデータがある日だけ、計7,158通り)。

2024-01-01〜2026-10-31 の 157,138 レース。単勝1号艇・倍賭け・元手10万円で、1,000レース以内に破産した割合。開始点どうしは期間が重なるので、7,158通りは独立した試行ではない。
| 買い方 | 規則 | 実際の並び(会場ごと) | 会場の中で並べ替え | 全会場まとめて抽出 |
|---|---|---|---|---|
| 単勝 1号艇 | 倍賭け(上限なし) | 46.0% | 38.8% | 29.5% |
| 単勝 1号艇 | 倍賭け・打ち切り | 3.9% | 2.4% | 0.3% |
| 複勝 1号艇 | 倍賭け(上限なし) | 2.2% | 1.6% | 0.6% |
| 3連単 1番人気 | 倍賭け・打ち切り | 96.2% | 95.1% | 96.1% |
元手10万円・1,000レース以内に破産した割合。「会場の中で並べ替え」は、会場ごとにレースの順番だけをランダムに入れ替えたもの(シード51)。
単勝1号艇の倍賭けでは、破産が29.5%から46.0%まで増えた。差は2つに分けられる。
- 会場の違い(29.5%→38.8%、+9.3ポイント): 1号艇の単勝の的中率は、会場で43.0%(戸田)から62.6%(徳山)まで違う。1つの会場を追い続けると、当たりにくい会場では連敗が長くなる。全会場から混ぜて抽出すると、この差が消える。
- 並び順(38.8%→46.0%、+7.3ポイント): 同じ会場の中でも、外れは続きやすかった。単勝1号艇が外れた次のレースで再び外れる割合は47.9%、当たった次のレースでは42.5%だった(全体では44.9%)。同じ開催の水面や天候などが関係している可能性はあるが、原因は確かめていない。
差は丸める前の値から出した。そのため、2つの合計(16.6)と表の値どうしの差(46.0−29.5=16.5)は丸めの分だけ合わない。
3連単1番人気では差がほとんど出なかった。外れの続きやすさにも差がなかった(外れた次のレースで外れる割合89.5%、当たった次で89.0%)。
単勝の倍賭け(上限なし・打ち切り)と複勝の倍賭けについては、上の「何レースで破産するか」の数字は実際より楽観的に出ていると読んでほしい。取り戻し型と3連単では、1,000レースまでの破産に並び順による差はほとんど出なかった。単勝1号艇の取り戻し型は、実際の並び98.7%・全体抽出99.2%で、逆に実際の並びのほうが少し低い(100レース時点では67.7%と60.1%で、実際の並びのほうが高い)。並び順の確認は3,000レース先までしか回していないので、「破産までのレース数(中央値)」そのものは実際の並びでは計算していない。
実際の並び順で回しても、賭け金1円あたりの戻りは12通りすべてで100%未満(72.6〜95.9%)だった。
破産確率の記事との関係
同じ回収率でも賭け方で破産確率が変わるでは、このツールの予想(モデルの本命)を使い、「定額」と「資金の一定割合」の2つの賭け方で破産確率を比べた。そこでの結論は、賭け方で破産を遅らせることはできても、回収率が100%を割っている限り避けられない、というものだった。
今回は、予想を使わない機械的な買い方に、マーチンゲールという3つ目の賭け方を足した。結論は同じ方向である。賭け方で変わるのは破産の速さと損の大きさだけで、1円あたりの戻りは変わらない。マーチンゲールは、定額よりも速く破産する側にあった。
なお、全部の組み合わせを買った場合の回収率は、控除率の記事で券種ごとに測っている。
測り方の詳細数え方と対象の決め方。読まなくても本文の結論は変わりません
- 対象: 2024-01-01〜2026-10-31 に開催されたレースのうち、単勝・複勝・3連単の払戻がすべて記録されている 157,138 レース。データベースのレース表には同じ期間に 159,444 レースあり、差は中止や払戻の記録がないレースである。
- 1レースごとの戻りの倍率: 外れは0、返還は1(同じ額が戻る)、当たりは払戻÷100。同着で単勝の払戻が2つあるレースは2つを合計した。
- 単勝の「特払い」: 70円の特払いが1レースあり、0.7として扱った。このレースの1号艇は2着で、単勝は当たっていない。そのため当たりの回数と倍率の内訳(図01)には数えていない。一方、シミュレーションではこのレースを引いたとき、当たりと同じく賭け金を100円に戻していた。外れとして数え直して全設定を回し直すと、変わったのは単勝1号艇の円単位の金額だけだった(平均損益で最大47円)。破産の割合・破産までのレース数・賭け金1円あたりの戻り・連敗の回数は、表示している桁ではすべて同じだった。そのため本文の数字はそのままにした。
- 返還: 1号艇の着順がF(フライング)・L0/L1(出遅れ)・K0/K1(欠場)のレースは返還とした(1,140レース)。失格(S0/S1/S2)は返還されないので外れとした。3連単1番人気は、外れた組の中に欠場艇がいたかどうかを判定できないので、外れはすべて外れとして扱った。
- 乱数とシミュレーション:
numpy.random.default_rng(51)、1設定10,000本、1本最大20,000レース。36設定(3つの買い方×4つの規則×3つの元手)。 - 再現:
articles/_work/i51_calc.py(約3分)→i51_calc_extra.py(並び順の確認)→i51_tables.py(表)→i51_charts.py(図)。計算ログはarticles/_work/i51_calc.md。
この記事の限界
- 3連単1番人気は、締切時点の人気で数えている。 締切前に同じ組を確実に選べるわけではない。
- 取り戻し型の見込み倍率は、全期間の中央値を使った(あとから分かる値)。実際に使える倍率で決めた場合より、規則に有利に出ている可能性がある。
- 6,400円で打ち切る上限は、この記事で置いた規則である。 打ち切る金額を変えれば数字は変わる。舟券の購入上限などの制度は調べていない。
- 復元抽出は、並び順の偏りを消している。 実際の並び順で回すと、単勝・複勝の倍賭けは破産がもっと早かった。破産までのレース数は、実際より長めに出ていると考えられる。
- 過去の配当の分布が、これからも同じとは限らない。 ただ、3つの買い方の回収率は、前半と後半で1ポイント程度しか動かなかった。
まとめ
- マーチンゲール(倍賭け)を競艇で試すと、どの買い方・どの規則・どの元手でも、賭け金1円あたりの戻りは元の買い方の回収率とほぼ同じだった(36通りすべてで75.8〜94.4%)。
- 単勝1号艇の当たりの79.5%は2倍未満で、倍賭けでは負けを取り戻せない。1回外れたあと1.4倍で当たっても−20円である。
- 元手10万円が尽きるまでの中央値は、単勝1号艇の定額で11,266レース・倍賭けで1,847レース・取り戻し型で74レース。3連単1番人気の倍賭けは14レースだった。
- 途中では勝っている人が多く見える(取り戻し型・元手100万円の100レース時点で60.7%)。それでも平均は負けている。
- 実際の並び順で回すと、破産はさらに早かった(倍賭け・元手10万円の1,000レースまでの破産は29.5%→46.0%)。
賭け金の決め方は、回収率を変えない。変わるのは、負けが出てくる速さと大きさである。マーチンゲールは、そのどちらも大きくする側の賭け方だった。
免責
- 本記事に記載した数値はすべて過去データに対する実測・シミュレーションであり、将来の的中や利益を保証するものではありません。
- 本記事および言及したツールは分析の補助を目的としており、舟券の購入を勧誘するものではありません。
- 舟券は20歳未満の方は購入できません。
- 舟券の購入は自己責任で、生活に必要な資金とは別の、余裕資金の範囲で行ってください。のめり込みには十分ご注意ください。