競艇の勝率の見方。全国勝率の差1.0で着順は約半着動くが、1号艇の有利はそれより大きい
出走表でいちばん目に入る数字は、選手の全国勝率だろう。6.50と5.50なら、6.50の方が強い。では、その「1.0の差」は着順をどれだけ動かすのか。
モデルの予測は使わず、2024-01-01〜2026-10-09 の141,495レースで数えた。
結論を先に書く。
- 同じレースの2艇を比べると、全国勝率の差が1.0〜1.5のとき、高い方が先にゴールしたのは65.4%。差が0.25未満なら51.6%で、ほぼ五分だった。
- 他の5艇の平均より勝率が1.0高い艇は、平均着順が0.42〜0.51着前に来る(枠ごとに測った値)。おおよそ「1.0で半着」と覚えてよい。
- ただし枠の差の方が大きい。2号艇が1号艇と五分になるには、勝率が1.8点上である必要があった。 6号艇なら3.2点。一方、2号艇と3号艇の差は0.3点ぶんしかない。
- 勝率の差で単勝を買い分けても、回収率はどの組でも100%に届かなかった(最高は1号艇・勝率が他艇平均より2.0以上高い艇で92.9%)。
勝率は「1着の割合」ではない
先に言葉をそろえておく。
競艇の勝率は、1着になった割合ではない。着順ごとの点数(1着10点・2着8点・3着6点…)を合計して、出走回数で割った値とされる(解説サイトの記述による。公式の定義文は確認できなかった)。だから6点台・7点台という数字になる。
この記事で使うのは全国勝率(すべてのレース場での勝率)だけである。そのレース場だけの当地勝率は使っていない。
今回のデータで、級別ごとの全国勝率はこうなっていた。
| 級別 | 艇数 | 平均 | 下位1割〜上位1割 |
|---|---|---|---|
| A1 | 209,128 | 6.67 | 6.02〜7.34 |
| A2 | 200,381 | 5.79 | 5.16〜6.43 |
| B1 | 387,052 | 4.55 | 3.65〜5.45 |
| B2 | 52,409 | 2.72 | 1.23〜4.88 |
A1とA2の平均の差が約0.9、A2とB1が約1.2。勝率差1.0は、だいたい級1つぶんと見てよい。1つのレースの中で、勝率が最も高い艇と最も低い艇の差は、中央値で2.7あった。
2艇を比べると、差1.0〜1.5で高い方が65.4%先着する
同じレースの6艇から2艇を選ぶ組は15通りある。141,495レースの全部の組(勝率が同点の組は除く)で、勝率の高い方が先にゴールした割合を数えた。

2024-01-01〜2026-10-09・141,495レース。同じレースの2艇の全ペア比較。
| 全国勝率の差 | 組の数 | 高い方が先着 | 前半 | 後半 |
|---|---|---|---|---|
| 0〜0.25 | 277,988 | 51.6% | 51.5% | 51.8% |
| 0.25〜0.5 | 277,726 | 54.8% | 54.8% | 54.8% |
| 0.5〜1.0 | 482,701 | 59.6% | 59.5% | 59.7% |
| 1.0〜1.5 | 367,169 | 65.4% | 65.5% | 65.3% |
| 1.5〜2.0 | 264,338 | 70.9% | 70.9% | 70.8% |
| 2.0〜3.0 | 287,488 | 77.6% | 77.4% | 77.8% |
| 3.0以上 | 159,313 | 89.6% | 89.4% | 89.8% |
差が開くほど、高い方が先着する割合はきれいに上がる。前半・後半に分けても、どの帯も差は0.5ポイント未満だった。
差が0.5未満なら、勝率の高低はほとんど当てにならない(51.6〜54.8%)。0.2や0.3の差なら、高い方が先着するのは52〜55%で、五分と大きくは変わらない。
同じ勝率差でも、内側か外側かで先着率が大きく変わる
上の数字は、枠をまぜた平均である。競艇は枠(1〜6号艇の番号。内側ほど有利)で結果が大きく変わる。勝率の高い方が内側の枠にいたか、外側の枠にいたかで分けた。

2024-01-01〜2026-10-09・141,495レース。
| 全国勝率の差 | 高い方が内側 | 高い方が外側 |
|---|---|---|
| 0〜0.25 | 68.3% | 34.5% |
| 0.25〜0.5 | 70.9% | 37.6% |
| 0.5〜1.0 | 74.7% | 42.1% |
| 1.0〜1.5 | 79.1% | 48.6% |
| 1.5〜2.0 | 82.7% | 55.3% |
| 2.0〜3.0 | 86.9% | 63.9% |
| 3.0以上 | 93.4% | 79.5% |
- 勝率の高い方が外側にいると、差が1.5未満では負け越す。 差1.0〜1.5でも先着は48.6%だった。
- 高い方が内側なら、差がほとんど無くても68.3%で先着する。
勝率の差を読むときは、「どちらが内側か」を先に見ないと、方向を読み違えることになる。
2号艇が1号艇と五分になるには、勝率1.8点上が要る
では、枠1つの有利は勝率で何点ぶんか。枠の組ごとに「外側の艇の勝率が何点上なら、先着の確率が50%になるか」を出した。
使ったのはロジスティック回帰(数字から確率を出す簡単な式)で、勝率の差だけを入れた。結果をそのまま信じないよう、式を使わずに0.5刻みで数えた値とも突き合わせた(下の表の右の列)。

2024-01-01〜2026-10-09・141,495レース。前半・後半で別々に式を作っても、値は0.2点以内で同じだった。
| 組 | 勝率がほぼ同じ(差0.25未満)とき内側が先着 | 五分になる勝率差 | 前半 / 後半 |
|---|---|---|---|
| 2号艇 対 1号艇 | 75.4% | +1.8点 | +1.8 / +1.8 |
| 3号艇 対 1号艇 | 76.8% | +2.1点 | +2.1 / +2.1 |
| 4号艇 対 1号艇 | 78.1% | +2.3点 | +2.3 / +2.3 |
| 5号艇 対 1号艇 | 80.9% | +2.7点 | +2.8 / +2.6 |
| 6号艇 対 1号艇 | 84.6% | +3.2点 | +3.2 / +3.2 |
| 3号艇 対 2号艇 | 54.0% | +0.3点 | +0.3 / +0.3 |
| 4号艇 対 3号艇 | 56.9% | +0.5点 | +0.5 / +0.5 |
| 5号艇 対 4号艇 | 58.1% | +0.6点 | +0.6 / +0.6 |
| 6号艇 対 5号艇 | 59.2% | +0.7点 | +0.6 / +0.7 |
1号艇の有利だけが飛び抜けている。 2号艇と1号艇の差は勝率1.8点ぶん。これは級2つぶんに近い。ところが2号艇と3号艇の差は0.3点ぶんしかない。隣どうしの差は、外へ行くほど少しずつ大きくなる(0.3→0.5→0.6→0.7)。
式を使わずに数えた値でも同じだった。2号艇の勝率が1号艇より1.5〜2.0高い組では2号艇の先着が49.8%(7,206組)、2.0〜2.5高い組では54.9%(4,509組)。6号艇は3.0〜3.5高い組で50.8%(1,055組)だった。
他艇より勝率が1.0高いと、平均着順は約半着前に来る
最後に、1艇ずつ見る。自分の全国勝率から、他の5艇の平均を引いた値を「他艇平均との差」と呼ぶ。この差が1.0増えると、着順と1着率がどれだけ動くかを枠ごとに測った。

2024-01-01〜2026-10-09・141,495レース。1着率はロジスティック回帰で滑らかにした値。
| 枠 | 差0のときの1着率 | 差+1.0のときの1着率 | 上がり幅 | 平均着順の変化(差1.0あたり) | 前半 / 後半 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1号艇 | 50.0% | 64.0% | +14.0pt | -0.45着 | -0.45 / -0.46 |
| 2号艇 | 11.0% | 19.1% | +8.1pt | -0.51着 | -0.51 / -0.52 |
| 3号艇 | 10.3% | 17.3% | +7.0pt | -0.50着 | -0.49 / -0.50 |
| 4号艇 | 8.4% | 14.5% | +6.1pt | -0.50着 | -0.50 / -0.50 |
| 5号艇 | 4.8% | 8.9% | +4.1pt | -0.45着 | -0.45 / -0.45 |
| 6号艇 | 2.0% | 4.7% | +2.6pt | -0.42着 | -0.42 / -0.42 |
- 平均着順で見ると、どの枠でも差1.0あたり0.42〜0.51着、前に来る。 枠による違いは小さい。前半・後半でもほぼ同じ値だった。
- 1着率で見ると、1号艇が飛び抜けて大きく動く(+14.0ポイント)。もともと1着になりやすい枠ほど、1着率の「ポイント」は大きく動く。
- 6号艇は+2.6ポイントと小さいが、2.0%→4.7%なので、倍率で見れば2倍以上である。
式で滑らかにする前の、生の数字も載せておく。1号艇と6号艇の2つ。
| 他艇平均との差 | 1号艇: 艇数 | 1号艇: 1着率 | 1号艇: 平均着順 | 6号艇: 艇数 | 6号艇: 1着率 | 6号艇: 平均着順 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| -2未満 | 2,157 | 20.3% | 3.76 | 19,298 | 0.3% | 5.47 |
| -2〜-1 | 12,081 | 29.5% | 3.05 | 18,694 | 0.7% | 4.97 |
| -1〜0 | 35,041 | 43.2% | 2.42 | 40,698 | 1.3% | 4.61 |
| 0〜+1 | 49,923 | 58.5% | 1.91 | 36,970 | 2.7% | 4.19 |
| +1〜+2 | 32,223 | 69.2% | 1.61 | 19,027 | 7.1% | 3.58 |
| +2以上 | 10,070 | 77.2% | 1.41 | 6,808 | 15.7% | 2.98 |
1号艇でも、他の5艇より勝率が2.0以上低ければ1着は20.3%まで下がる。6号艇でも2.0以上高ければ15.7%まで上がる。それでも、勝率が大きく上の6号艇(15.7%)は、勝率が大きく下の1号艇(20.3%)に届いていない。
勝率の差で単勝を買い分けても、回収率は100%に届かない
着順が動くことと、舟券で得をすることは別の話である。配当は買った人の多さで決まるので、強いと分かる艇ほど配当が下がる。回収率(買った金額に対して戻ってきた払戻の割合。100%で収支トントン)で確かめた。

2024-01-01〜2026-10-09・141,495レース。全枠まとめ、各艇の単勝を毎回100円買った場合。
枠ごとに分けると、こうなる。
| 枠 | -2未満 | -2〜-1 | -1〜0 | 0〜+1 | +1〜+2 | +2以上 | 枠全体 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1号艇 | 85.6% | 88.7% | 91.6% | 91.6% | 92.8% | 92.9% | 91.6% |
| 2号艇 | 40.3% | 61.2% | 70.0% | 76.1% | 79.4% | 80.9% | 72.2% |
| 3号艇 | 45.2% | 67.2% | 72.8% | 76.2% | 79.2% | 80.1% | 73.7% |
| 4号艇 | 41.7% | 57.1% | 66.6% | 74.6% | 81.3% | 82.3% | 69.1% |
| 5号艇 | 28.6% | 47.0% | 60.4% | 70.6% | 76.8% | 79.3% | 61.2% |
| 6号艇 | 11.1% | 19.7% | 34.2% | 42.9% | 59.4% | 72.2% | 36.6% |
(列の見出しは「他艇平均との差」)
- 36の組のうち、100%を超えた組は1つも無い。 いちばん高いのは1号艇・差+2以上の92.9%(10,070艇)だった。
- どの枠でも、勝率の低い艇ほど回収率が低い。勝率の低い艇は、勝つ確率の割に配当が安く付いている、という形である。人気薄が実力より多く買われる傾向は、賭けの市場で広く知られている(favorite-longshot biasと呼ばれる)。ただし、この記事ではオッズを直接は調べていないので、原因はそれだと確かめたわけではない(未検証)。
- 1号艇の行は、差-2以上なら88.7〜92.9%で、幅は4ポイントほどにとどまる。
出走表で勝率を見るときの順番
数字から言えることを、見る順番に並べるとこうなる。
- まず枠を見る。 1号艇の有利は勝率1.8〜3.2点ぶんあり、たいていの勝率差より大きい。
- 次に、勝率の差が0.5以上あるかを見る。 0.5未満の差は、2艇の比較ではほぼ五分である。
- 差1.0は、平均着順で約半着、級1つぶん。 2号艇から6号艇どうしなら、隣の枠の不利は勝率0.3〜0.7点で埋まる。
- ただし、どの組も回収率は100%に届かない。 勝率の差だけで買い分けても、払戻が購入額を上回った組は無かった。
測り方の詳細数え方と対象の決め方。読まなくても本文の結論は変わりません
- 期間とレース数: 2024-01-01〜2026-10-09。DBの最初の日付から、執筆日(2026-10-10)の前日までの全データを使った。
- 母集団: 次の3つをすべて満たす141,495レース(848,970艇)。(a) 6艇すべてに1〜6着の着順が付いている(フライング・出遅れ・転覆などの失格や欠場の艇がいない)。(b) 6艇すべての全国勝率が0.00でない(0.00は全国の出走実績が無い選手。1,701艇いた)。(c) 単勝の払戻データがある(特払いの1レースを含む)。DBにある156,072レースのうち、着順データがあるのは154,115。(a)で143,118、(b)で141,564、(c)で141,495まで減った。
- 2艇の比較: 1レース15組、計2,122,425組。勝率がまったく同じ5,702組は除いた。
- 五分になる勝率差: 枠の組ごとに、内側の艇が先着するかを「内側−外側の勝率差」1つで説明するロジスティック回帰を作り、確率が50%になる差を求めた。式を使わない0.5刻みの集計とも突き合わせた。五分点の確認の「差0.25未満」には、勝率が同点の組も含めた(2艇比較の表とは扱いが違う)。
- 区間の境目: 勝率の差は小数2桁、他艇平均との差は小数3桁に丸めてから区間に分けた。「0.25〜0.5」は0.25を含み0.5を含まない(他の区間も同じ)。
- 他艇平均との差: 自艇の全国勝率から、同じレースの他5艇の全国勝率の平均を引いた値。平均着順の変化は、この差に対する直線の傾き。
- 前半・後半: レース数で2等分した(前半70,747レース・2024-01-01〜2025-05-24、後半70,748レース・2025-05-24〜2026-10-09)。境目の日は両方に入っている(同じ日の途中で分かれる)。
- 単勝回収率: 各艇の単勝を毎回100円買った場合の、払戻の合計÷購入額。失格の艇がいるレースを除いているので、全レースで数えた回収率とは少し違う。
- 勝率が何年分・どの区切りで集計された値なのかは、公式の定義を確認できなかった(未確認)。
- この記事の集計はすべて過去データを数えたもので、モデルの予測は使っていない。
まとめ
- 全国勝率の差が1.0〜1.5の2艇では、高い方が先着したのは65.4%。差0.5未満ならほぼ五分。
- 他艇平均より勝率が1.0高いと、平均着順は0.42〜0.51着前に来る。前半・後半で同じだった。
- 枠の差はそれより大きい。2号艇が1号艇と五分になるには勝率1.8点上、6号艇なら3.2点上が要る。2号艇と3号艇の差は0.3点ぶん。
- 勝率の差で単勝を買い分けても、36の組すべてで回収率は100%未満(最高92.9%)。
勝率は着順をはっきり動かす。ただし枠の有利の方が大きく、勝率の差で買い分けても回収率は100%に届かなかった。勝率は「どの艇が来やすいか」を読む材料になる。ただ、この期間のデータでは、勝率の差だけで払戻が購入額を上回る組は無かった。
免責
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