1コースはスタート0.05秒で1着率が約8ポイント違う。ただし締切前には分からない

レースの中身 公開

競艇では「スタートが勝負を決める」とよく言われる。では、スタートが0.05秒速いと、1着率は実際に何ポイント変わるのか。データで数えた。

結論から書く。

  • 1コースの艇は、スタートが0.05秒速いと1着率が約8〜10ポイント高い。スタートが0.05秒以内なら71.1%、0.26秒以上なら22.3%だった。
  • 2〜6コースでは、0.05秒あたり0.7〜3.7ポイント。数字は小さいが、もともとの1着率が低いので、割合で見ると大きい。
  • ただし、本番のスタートはレースが終わってから分かる数字である。締切前に分かる「選手の過去の平均スタート」や「展示のスタート」は、本番とあまり一致しなかった。
  • 過去の平均スタートが速い1号艇の単勝を買い続けても、回収率は92.4%で、100%には届かなかった。

集計したのは 2024-01-01〜2026-10-08 の 151,532 レース(909,192艇)。


集計の範囲

  • 期間: 2024-01-01(手元のDBの最初の日)〜2026-10-08
  • 対象: 151,532レース。6艇がそろって出走し、出走表のデータも6艇分あり、1着が決まり、単勝の払戻があるレースだけ
  • 除いたもの: 結果が無いレース(中止と見られる)1,957件、欠場などで6艇そろわなかったレース、または出走表のデータが一部欠けていたレース2,335件(うち出走表の欠けが449件)、1着がいないレース21件、単勝の払戻が無いレース83件
  • スタートの集計: 上のレースのうち、フライングした3,470艇を除いた905,722艇

用語を先に説明しておく。

  • スタートタイミング(ST): スタートラインを通過した時刻を、大時計が0秒を指した瞬間からの秒数で表したもの。0.10なら、0秒の0.10秒後に通過したという意味。小さいほど速い
  • フライング(F): 大時計が0秒を指す前にスタートラインを通過すること。1秒以上遅れると出遅れ(L)。どちらも欠場になり、その艇に関わる舟券は返還される(ボートレース公式サイトの初心者ガイドによる)
  • 進入コース: スタートのときに内側から何番目にいたか。枠番(1号艇〜6号艇)とは別で、前づけ(外の枠の艇が内側のコースへ入り込むこと)があると入れ替わる。この記事の「1コース」は進入コースのこと

スタートは平均0.16秒。0.10秒以下は全体の2割

フライングを除いた905,722艇のスタートは、平均0.163秒、中央値0.16秒だった。0.10秒以下で出た艇は19.9%、0.05秒以下は4.2%しかいない。

なお、下の分布の図と0.01秒刻みの件数は、絞り込む前の全レース(153,967レース・918,296艇。欠場・出遅れ・フライングを除く)で数えた。

スタートタイミングの分布

出典: 自前DB 153,967レース・918,296行(2024-01-01〜2026-10-08)。フライング・欠場・出遅れを除く

コースごとの平均は、1コースが0.151秒でいちばん速く、6コースが0.181秒でいちばん遅い。級別(選手のランク。A1がいちばん上)では、A1が0.145秒、B2が0.186秒だった。強い選手ほどスタートが速い。

0.10・0.20・0.30ちょうどの記録が少ない

分布を0.01秒刻みで見ると、0.10・0.20・0.30の値だけが谷になっている。0.09が41,771件、0.11が54,329件なのに、0.10は29,887件しかない。

最初は、このツールの読み込み処理の誤りを疑った。そこで、公式の成績ファイルを直接数え直した(2025年の先頭60日分)。同じ谷が出た。元のデータの段階でこの形になっている。 原因(記録の丸め方など)は確かめていない。

この記事では、0.09と0.10が同じ区切りに入るように、区切りを「0.06〜0.10」「0.11〜0.15」のように置いた。谷の影響を区切りの中に閉じ込めるためである。


1コースの1着率は、0.05秒以内なら71%、0.26秒以上なら22%

1コースに入った艇を、スタートの速さで6つに分けて1着率を出した。

1コースの1着率は、STが遅いほどはっきり下がる

出典: 自前DB 151,532レース(2024-01-01〜2026-10-08)。1コースに入った艇(フライングを除く)

スタート 艇数 1コースの1着率 1つ速い区切りとの差
0.00〜0.05 8,483 71.1% —
0.06〜0.10 28,470 67.7% −3.4pt
0.11〜0.15 47,084 61.6% −6.1pt
0.16〜0.20 36,991 52.2% −9.5pt
0.21〜0.25 19,096 39.7% −12.5pt
0.26以上 10,454 22.3% −17.4pt

右の列を見ると、同じ0.05秒でも、遅い側ほど失う1着率が大きい。0.05秒以内と0.06〜0.10の差は3.4ポイントだが、0.21〜0.25と0.26以上の差は17.4ポイントある。

前半(2024-01-01〜2025-05-20)と後半(2025-05-21〜2026-10-08)に分けても、0.05秒以内は71.0%→71.2%、0.26以上は22.4%→22.2%だった。形は期間を変えても変わらない。

2〜6コースも、速いほど1着率が高い

スタート 2コース 3コース 4コース 5コース 6コース
0.00〜0.05 24.4% 20.6% 24.3% 13.2% 6.7%
0.06〜0.10 18.5% 16.8% 17.1% 9.6% 4.1%
0.11〜0.15 15.4% 14.3% 11.9% 7.0% 2.2%
0.16〜0.20 12.3% 11.3% 8.2% 5.1% 1.6%
0.21〜0.25 9.1% 9.0% 5.6% 3.7% 1.0%
0.26以上 5.9% 5.4% 3.0% 2.0% 0.5%

出典: 自前DB 151,532レース(2024-01-01〜2026-10-08)。進入コース別・フライングを除く

どのコースでも、スタートが速い区切りほど1着率が高い。4コースは0.05秒以内で24.3%、0.26以上で3.0%と、8倍の開きがある。


0.05秒の重さは、強い選手どうしで比べても大きくは縮まない

ここで疑問が出る。強い選手ほどスタートが速い。だから「スタートが速いと勝つ」のではなく「強い選手だから勝つ」だけではないか。

これを確かめるため、コースごとに「スタートが0.05秒速いと1着率が何ポイント上がるか」を直線で当てはめて出した。そのうえで、全国勝率(出走表に載る、その選手の成績から出した数字。大きいほど強い)が同じ艇どうしで比べた値も出した。

0.05秒速いと1着率は何ポイント上がるか(コース別)

出典: 自前DB 151,532レース(2024-01-01〜2026-10-08)。青=そのまま、橙=全国勝率をそろえた値

コース そのまま 全国勝率をそろえた 前半 後半
1 9.7pt 8.1pt 8.0pt 8.1pt
2 3.2pt 2.6pt 2.7pt 2.6pt
3 2.7pt 2.2pt 2.1pt 2.2pt
4 3.7pt 3.2pt 3.2pt 3.2pt
5 1.9pt 1.6pt 1.6pt 1.6pt
6 0.8pt 0.7pt 0.7pt 0.8pt

前半・後半は「全国勝率をそろえた」値

全国勝率をそろえると、1コースは9.7から8.1ポイントに縮んだ。縮んだ分(1.6ポイント)は「強い選手だから」で説明できる部分である。残りの8.1ポイントは、選手の強さをそろえても残った。 前半と後半でもほぼ同じ値だった。

2〜6コースの数字は1コースより小さい。ただ、もともとの1着率が低いことに注意してほしい。4コースの1着率は全体で10.6%なので、0.05秒で3.2ポイントの差は割合で見ると大きい。

2つ断っておく。

  • そろえたのは全国勝率だけである。モーターの調子や相手の強さはそろえていない
  • 直線での当てはめは近似である。上の表のとおり、実際は遅い側ほど0.05秒の重みが大きい

隣の艇より速いかどうかで、2〜4コースの1着率は大きく変わる

競艇では、自分のスタートの速さだけでなく、隣の艇より前に出られるかが大事だと言われる。そこで、自分のスタートと1つ内側の艇のスタートの差で分けた。

1つ内側の艇よりSTが速いと、2〜4コースの1着率が大きく上がる

出典: 自前DB 151,532レース(2024-01-01〜2026-10-08)。自分か内側の艇がフライングした組は除く

内側の艇との差 2コース 3コース 4コース
0.11秒以上速い 48.6% 34.2% 40.8%
0.06〜0.10秒速い 30.1% 23.2% 27.4%
0.01〜0.05秒速い 16.7% 14.1% 11.0%
同じ〜0.04秒遅い 10.7% 9.3% 5.6%
0.05〜0.09秒遅い 6.9% 5.6% 3.7%
0.10秒以上遅い 3.5% 2.6% 2.0%

4コースは、3コースより0.06〜0.10秒速いと27.4%、同じ〜0.04秒遅いと5.6%だった。差は約5倍ある。

1コースは「2コースとの差」で同じように分けた。こちらは形が単純ではなかった。

2コースとの差 1コースの1着率
0.11秒以上速い 59.8%
0.06〜0.10秒速い 64.1%
0.01〜0.05秒速い 62.6%
同じ〜0.04秒遅い 53.6%
0.05〜0.09秒遅い 31.7%
0.10秒以上遅い 7.5%

2コースより遅れると、1着率ははっきり下がる。0.10秒以上遅れると7.5%しかない。一方、2コースより0.11秒以上速いときは59.8%で、0.06〜0.10秒速いとき(64.1%)より低かった。3・4コースの艇との差は見ていないので、この理由は確かめていない。


本番のスタートは、締切前には分からない

ここまでの数字には、大きな前提がある。本番のスタートは、レースが終わってから記録される数字だということだ。舟券を買う時点では分からない。

締切前に分かる数字で、本番のスタートをどこまで言い当てられるかを2つ確かめた。

1. 選手の過去の平均スタート

その選手の前日までの直近約30走の平均スタートを作った。当日の前のレースは使っていない。この値と本番のスタートの相関(2つの数字が一緒に動く度合い。1なら完全に一致、0なら無関係)は0.26だった。

傾向はあるが、強くはない。過去の平均が速い2割の艇(0.141秒以下)は本番の平均が0.137秒、遅い2割(0.183秒より遅い)は0.189秒だった。平均で見れば順番どおりに並ぶが、1艇ずつで見ると本番のスタートは大きくばらつく。

2. 展示のスタート

レースの前にはスタート展示という練習があり、そのスタート(展示ST)は締切前に公開される。このツールが展示STを持っているのは、主に戸田・江戸川・住之江・大村の4会場である(他の会場は直近の少しだけ)。この節の数字も、上の対象151,532レースのうち、展示STと本番STが両方そろった艇(本番でフライングした艇は除く)で数えた。

展示STがフライングでない114,372艇で、本番のスタートとの相関は0.09だった。過去の平均スタートの0.26より低い。展示では21.3%の艇がフライングの位置で通過しており、平均も0.120秒と本番(0.160秒)より速い。展示は本番と同じ出方をする場ではない、と読める。

1コースの1着率を展示STで分けると、0.05秒以内で57.4%、0.21秒以上で45.7%だった。本番のスタートで分けたとき(71.1%→22.3%)より、差はずっと小さい。


過去の平均スタートで1号艇を選んでも、単勝の回収率は100%未満

締切前に分かる「過去の平均スタート」で1号艇を5つに分け、単勝を毎レース100円ずつ買い続けた場合の回収率(払った金額に対して戻ってきた金額の割合。100%で収支トントン)を出した。

過去の平均STが速い1号艇でも、単勝の回収率は100%未満

出典: 自前DB 151,532レース(2024-01-01〜2026-10-08)。1号艇がフライングしたレースは返還されるので分母から除いた

過去の平均スタート 艇数 1着率 単勝回収率 前半 後半
速い2割(〜0.141) 34,767 66.5% 92.4% 92.6% 92.3%
2番目(〜0.155) 31,940 59.5% 92.7% 93.1% 92.3%
3番目(〜0.168) 30,281 54.6% 92.6% 92.8% 92.4%
4番目(〜0.183) 28,013 48.2% 89.7% 90.2% 89.2%
遅い2割(0.183〜) 23,907 39.7% 86.9% 85.9% 87.9%

1着率は66.5%から39.7%まで、27ポイント近く違う。それでも、回収率は速い側の3つがどれも92%台で、100%には届かない。

これは、オッズ(払戻の倍率)が1号艇の勝ちやすさを先に織り込んでいると読める。スタートの速い選手はよく勝つが、そのぶん単勝の配当が安い。背景には控除率(舟券の売上のうち、払戻に回らず主催者側に残る割合)がある。売上の一部が先に差し引かれるので、買う人全体の回収率を平均すると100%を下回る。

遅い2割だけは86.9%と少し低く、前半・後半とも同じ向きだった。ただ、これは「避けると損が少し減る」という話で、利益が出るという話ではない。2〜6号艇も、過去の平均スタートが速い2割で回収率52.6〜79.1%だった。どの枠・どの区切りでも100%を超えたものは無い。


スタートが速い選手は、フライングも多い

スタートを攻めれば、フライングの危険も上がる。過去の平均スタートの区切りごとに、フライングした割合を出した。

過去の平均スタート フライング率(全艇)
速い2割 0.57%
2番目 0.39%
3番目 0.36%
4番目 0.33%
遅い2割 0.26%

出典: 自前DB 151,532レース(2024-01-01〜2026-10-08)

速い2割は、遅い2割の約2.2倍フライングしている。コース別では1コースが0.63%でいちばん多かった。

フライングの大きさは、0.01秒早かっただけのものが3,470件中1,624件(46.8%)、0.02秒までで69.0%を占める。ほんの0.01〜0.02秒の踏み込みすぎが、フライングの7割である。0.05秒速く出れば1着率は上がるが、その手前に欠場と返還の線がある。


まとめ

見たもの 結果
1コースで0.05秒速いと 1着率が約8〜10pt高い(全国勝率をそろえて8.1pt)
2〜6コースで0.05秒速いと 1着率が0.7〜3.7pt高い
遅い側の0.05秒 速い側より重い(1コースで3.4pt〜17.4pt)
締切前に本番スタートを言い当てる力 過去の平均で相関0.26、展示STで0.09
過去の平均スタートで1号艇を選んだ単勝 回収率86.9〜92.7%。どれも100%未満

スタート0.05秒の差は、1着率と強く結びついている。ただ、それが分かるのはレースが終わってからである。締切前に手に入る数字では本番のスタートをあまり言い当てられず、言い当てられる部分も、オッズがすでに織り込んでいるように見えた。この記事の数字からは、スタートを手がかりに買い目を選ぶだけで回収率が100%を超える、とは言えない。


この記事で確かめたこと・確かめなかったこと

  • 確かめた: 2024-01-01〜2026-10-08 の151,532レースで、進入コースとスタートの速さごとの1着率を数えた。前半・後半で同じ傾向が出ることも確かめた。
  • 確かめた: 全国勝率をそろえても、1コースで0.05秒あたり8.1ポイントの差が残ること。
  • 確かめた: 0.10・0.20・0.30ちょうどの記録が少ない形は、公式の成績ファイルの段階で既にあること(2025年の60日分で確認)。
  • 確かめなかった: その谷の原因。
  • 確かめなかった: スタートと1着の因果の向き。速いから勝つのか、勝ちやすい状況(モーターや隊形)だから速く出られるのかは、この集計では切り分けられない。
  • 確かめなかった: 1コースが2コースより0.11秒以上速いときに1着率が少し下がる理由。
  • 確かめなかった: 展示STで選んだ場合の回収率。展示STを持っている会場が偏っているため。

計算の手順と全部の数字は、計算ログ(articles/_work/i34_calc.md)に残している。


免責

  • 本記事に記載した数値はすべて過去データに対する実測であり、将来の的中や利益を保証するものではありません。
  • 本記事および言及したツールは分析の補助を目的としており、舟券の購入を勧誘するものではありません。
  • 舟券は20歳未満の方は購入できません。
  • 舟券の購入は自己責任で、生活に必要な資金とは別の、余裕資金の範囲で行ってください。のめり込みには十分ご注意ください。

関連記事

同じ分類(レースの中身)の記事と、公開日の前後の記事です。

分析記事の一覧へ