競艇の「カド」は本当に強いのか。3・4コースの1着率は2コースより低く、単勝回収率は73〜76%で100%に届かない

レースの中身 公開

競艇の解説や動画では「4カドから一気にまくる」という言い方をよく聞く。カドは外側から攻める位置として、強いイメージで語られることが多い。

では、数字の上でもカドは強いのか。モデルの予測は使わず、2024-01-01〜2026-09-29 の150,693レースで、3・4コースに実際に進入した艇の着順・決まり手・配当を数えた。

結論を先に書く。

  • 1着率は3コース12.7%、4コース10.6%。どちらも2コース(13.5%)より低い。
  • カドらしさが出るのは勝ち方の方だ。4コースの艇が1着になったとき、46.4%は「まくり」だった。 2コースは27.4%である。
  • 3・4コースの艇の単勝を買い続けた場合の回収率は75.5%と73.6%。2コースの71.5%よりは高いが、100%には届かない。

この記事での「カド」の数え方

先に定義をはっきりさせておく。数え方しだいで数字が変わるからだ。

競艇ではスタートの前に、6艇が内側の組と外側の組に分かれることが多い。内側はスロー(助走を短く取る組)、外側はダッシュ(助走を長く取る組)と呼ぶ。カドは本来、ダッシュ組の一番内側の艇を指す。 ふつうは4コースで(スロー3艇・ダッシュ3艇)、3号艇まで助走を長く取ってダッシュが4艇になると3コースがカドになる。

ただし、このサイトのデータベース(公式の競走成績から作ったもの)には、スローかダッシュかの記録が無い。そこでこの記事では、3コースと4コースに実際に進入した艇を対象にした。

ここで言う「コース」は枠番(1〜6号艇の番号)ではなく、実際に進入した位置である。競艇では、枠番どおりの位置に入るとは限らない。内側の艇の位置を外側の艇が奪う前づけが起きると、枠番とコースがずれる。

進入コース 枠番どおりの艇の割合 主な例外
3コース 92.3%(3号艇) 2号艇が4.1%
4コース 88.7%(4号艇) 3号艇が4.6%、5号艇が4.0%

つまり「3コースの艇」の約8%、「4コースの艇」の約11%は、別の枠番の艇である。


1着率は、3・4コースも2コースに届かない

進入コースごとに、1着になった割合を数えた。

1着率は、3・4コースも2コースに届かない

実際の進入コース別の1着率。2024-01-01〜2026-09-29 の150,693レース。

進入コース 1着率 2着内率 3着内率
1 55.1% 72.5% 81.4%
2 13.5% 38.5% 57.2%
3 12.7% 34.5% 54.4%
4 10.6% 27.5% 47.6%
5 6.1% 18.8% 37.3%
6 1.9% 8.2% 22.1%

内側から順に下がっていく並びで、3・4コースだけが飛び抜ける場所は無い。1着率で見ると、カドが2コースより強いとは言えない。 1コースの55.1%とは4.3〜5.2倍の差がある。


違いが出るのは勝ち方で、4コースの勝ちは半分近くが「まくり」

1着率で目立たないカドも、勝ち方を見ると性格がはっきり分かれる。

決まり手は、1着の艇がどうやって前に出たかを表す区分で、6種類ある。ここで要る3つを短く説明する。

  • まくり: 外側から大きく回り込み、内側の艇をまとめて抜くこと。
  • 差し: 内側に空いた隙間を突いて、前の艇を抜くこと。
  • まくり差し: すぐ内側の艇の外を回りながら、そのさらに内側の艇との間に切り込んで抜くこと。

4コースの勝ちは半分近くが「まくり」

そのコースの艇が1着になったときの決まり手のうち、まくりの割合。2024-01-01〜2026-09-29 の150,693レース。

1着のコース 1着数 逃げ 差し まくり まくり差し 抜き 恵まれ
2 20,351 0.0% 62.5% 27.4% 0.0% 8.5% 1.5%
3 19,211 0.0% 11.5% 40.0% 36.8% 10.3% 1.3%
4 15,972 0.0% 18.4% 46.4% 26.0% 7.6% 1.5%
5 9,230 0.0% 6.2% 21.1% 60.3% 10.2% 2.1%

4コースの勝ちの46.4%がまくりで、6つのコースの中で一番高い。 「4カド攻め」という言い方どおり、外から一気に抜く勝ち方が多い。

3コースは、まくり40.0%とまくり差し36.8%がほぼ半々である。2コースは差しが62.5%で、内側の隙間を突く勝ち方が中心になる。

まくりで勝った23,463件を、勝った艇の進入コースで分けると、3コースが32.8%、4コースが31.6%だった。まくりの約3分の2は3・4コースから出ている。


カドが勝つと、配当は上がる

1着の艇のコース別に、3連単(1〜3着を着順どおりに当てる舟券)の払戻を並べた。平均は極端な高配当に引っ張られるので、真ん中の値(中央値)で比べる。

1着のコース 3連単配当の中央値 1万円以上の割合
1 1,470円 3.6%
2 4,010円 22.0%
3 5,130円 27.4%
4 6,670円 35.5%
5 10,790円 53.1%
6 20,495円 68.7%

4コースが勝ったレースでは、3連単の中央値が6,670円で、1コースが勝ったときの約4.5倍になる。ただしこれは「勝ったあとに分かる配当」である。次の節で見るとおり、あらかじめカドを買い続けても、この高配当で元が取れるわけではない。


単勝を買い続けると、3・4コースは75.5%と73.6%

単勝(1着の艇を1つだけ当てる舟券)を、進入コースごとに毎レース100円ずつ買い続けたと仮定した。回収率は、買った金額に対して戻ってきた金額の割合である。100%で収支ゼロ、それ未満は損になる。

進入コース別に単勝を買い続けた回収率

フライングの艇の単勝は返還されるため、買わなかった扱いで除いた。2024-01-01〜2026-09-29 の150,693レース。

3コースは75.5%、4コースは73.6%だった。2コース(71.5%)や5コース(66.7%)よりは高い。それでも100%には遠く、1コース(92.6%)にも及ばない。

競艇の舟券は、売上の一部を主催者が先に差し引いてから配当に回す仕組みになっている。この差し引かれる割合を控除率と呼ぶ。そのため、何も考えずに買い続けると回収率は100%を割るのがふつうだ。3・4コースの回収率は、1コースと2コースの間に収まっている。

実際にレース前に買える形だと、もう少し下がる

上の数字には1つ注意がある。進入コースはスタートのときに決まるので、舟券の締切前には確定していない。締切前に分かるのは枠番だけだ。

そこで、レース前に実行できる「枠番で買う」形でも測った。同じ150,693レースで、3号艇の単勝は74.3%、4号艇の単勝は69.9%だった。進入コースで数えたときより、3では1.2ポイント、4では3.7ポイント下がる。

買い方 3 4
進入コースで買う(締切前には分からない) 75.5% 73.6%
枠番で買う(締切前に実行できる) 74.3% 69.9%

進入が入れ替わったレースの数字は、使いどころが無い

前づけなどで、6艇のうち1艇でも枠番と違うコースに入ったレースは28,758件(全体の19.1%)あった。このレースだけで数えると、3コースの単勝回収率は81.9%、4コースは84.3%に上がる。

一見すると「進入が乱れたらカドを買う」が良さそうに見える。しかし、この数字は使えない。理由は2つある。

  1. 進入が乱れたかどうかは、締切後にしか確定しない。 レース前に選べない条件で絞った数字である。
  2. ここで言う「3・4コースの艇」は、枠番どおりの艇が59.7%・40.7%しかいない。 残りは前づけで入った別の枠の艇で、中身が別物になっている。

しかも、上がった後でも100%には届いていない。

進入が枠番どおりだったレース(121,935件)だけで数えると、1着率は3コース12.4%・4コース10.1%、単勝回収率は74.0%・71.0%だった。全体とほぼ同じで、結論は変わらない。


進入固定レースでは1コースが70%まで上がり、2〜4コースは8〜9%台に並ぶ

進入固定は、前づけを禁止して、全艇を枠番どおりのコースに入れるレースである。対象の中に4,155件あった。

進入コース 進入固定の1着率 それ以外の1着率
1 70.0% 54.7%
2 8.3% 13.7%
3 8.4% 12.9%
4 9.1% 10.6%

進入固定では1コースの1着率が70.0%まで上がり、2〜4コースはどれも8〜9%台に下がる。単勝回収率は3コース49.7%、4コース48.5%だった。

ただし4,155件は全体の2.8%と少なく、数字の揺れも大きい。進入固定は別の記事で詳しく扱う予定なので、ここでは「カドの話をするときは、進入固定を混ぜるかどうかで数字が動く」とだけ書いておく。本記事の全体の数字は、進入固定のレースも含めている。


期間を分けても、数字はほとんど動かない

1回の集計で偶然そう見えただけではないかを確かめるため、期間をレース数でほぼ半分に分けた。

進入コース 前半の1着率 後半の1着率 前半の単勝回収率 後半の単勝回収率
2 13.7% 13.3% 73.6% 69.5%
3 12.5% 13.0% 75.5% 75.5%
4 10.7% 10.5% 73.6% 73.6%

前半は2024-01-01〜2025-05-17(75,245レース)、後半は2025-05-18〜2026-09-29(75,448レース)。3・4コースは、1着率も回収率もほとんど変わらなかった。4コースの回収率が前後半とも73.6%になっているのは偶然の一致である。


フライングは、カドに偏っていない

カドは助走を長く取って勢いよくスタートするので、フライングが多そうに思える。フライングは、スタートの合図より早く線を越えてしまうことで、その艇は失格になり、舟券は返還される。

進入コース別のフライング率は次のとおりだった。

進入コース 1 2 3 4 5 6
フライング率 0.63% 0.28% 0.36% 0.34% 0.31% 0.36%

一番多いのは1コースの0.63%(945件)で、3・4コースは他の外側のコースと変わらない。この数字だけでは、カドのスタートが特に危ないとは言えない。


測り方の詳細数え方と対象の決め方。読まなくても本文の結論は変わりません
  • 期間とレース数: 2024-01-01〜2026-09-29。DBの最初の日付から、執筆日(2026-09-30)の前日までの全データを使った。
  • 母集団: 次の3つをすべて満たす150,693レース。(a) 決まり手が記録されている。(b) 6艇全員が進入している(欠場や出遅れの艇がいない)。(c) 1着の艇がいる。フライングの艇は進入しているので、そのレースも含めた。1着が同着のレースが2件あり、そこでは2艇とも1着に数えた。
  • コース: 公式の競走成績に載っている実際の進入コース。枠番ではない。スロー・ダッシュの区別はデータに無いので、「3・4コース=カド」は近似である。
  • 単勝回収率: そのコースの艇の単勝を毎レース100円買った場合の、払戻の合計÷購入額。フライングで返還される分は購入額に含めていない。単勝の払戻データが無いレース(84件)は除いた。
  • 3連単の中央値: 1着の艇のコース別。3連単の払戻データがあるレースだけで数えた。
  • 既刊記事との関係: 以前の記事「枠とは何か」で書いた1号艇の1着率55.31%・単勝91.61%は、枠番別で、6艇が完走したレースに絞って数えた数字である。本記事は進入コース別で、母集団も期間も違うため一致しない。決まり手の記事で書いた「まくりは3号艇31.7%・4号艇29.3%」も枠番別で、本記事の進入コース別(3コース32.8%・4コース31.6%)と方向は一致している。
  • この記事の集計はすべて過去データを数えたもので、モデルの予測は使っていない。

まとめ

  • カドの1着率は3コース12.7%、4コース10.6%で、2コースの13.5%より低い。勝つ回数の上で、カドが特別に強いとは言えない。
  • カドらしさは勝ち方に出る。4コースの勝ちの46.4%はまくりで、6コースの中で一番高い。
  • カドが勝つと3連単の配当は上がる(4コース勝ちの中央値6,670円)。それでも、カドの単勝を買い続けた回収率は75.5%・73.6%で、100%を割る。締切前に買える枠番の形だと74.3%・69.9%まで下がる。
  • 進入が乱れたレースだけ数えると回収率が上がって見えるが、締切後にしか分からない条件なので使えない。

「4カドは強い」という言葉は、勝つ頻度ではなく、勝つときの形の話として聞くのが、数字には合っている。


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