モーター2連率は着順を動かす。ただし、枠と選手の力に比べるとずっと小さい
競艇の出走表には、艇ごとに「モーター2連率」が載っている。数字が高いモーターの艇は、本当に上位に来やすいのか。24場すべてを合わせて、実測した。
結論から言う。
- 高いほど1着に来やすいのは本当だった。 25未満の艇の1着率は15.0%、45以上の艇は19.4%。差は4.4ポイント。
- ただし、足しても予測はほとんど良くならない。 枠番と選手の全国勝率がすでに分かっているとき、モーター2連率を足しても、1着の予測はほぼ変わらなかった。
- 単勝を買っても、100%に届かない。 どの区分でも回収率は100%未満だった。
集計期間は 2024-01-01〜2026-09-26。対象は 140,574 レース(艇では 843,444 艇)。対象の絞り方は末尾の「測り方」に書いた。
結論: 差は出る。しかし小さく、買っても100%に届かない
先に、全体の数字を並べる。
| 見たもの | 実測 |
|---|---|
| 1着率(モーター2連率 25未満 → 45以上) | 15.0% → 19.4%(差 4.4pt) |
| 全艇の平均(6艇のうち1艇が1着になる割合) | 16.7% |
| 枠番+全国勝率に、モーター2連率を足したときの予測の改善 | 損失の減り方が 24.64% → 24.74%(+0.10pt) |
| 単勝の回収率(レース内でモーター2連率が最も高い艇を買う) | 72.4% |
| 単勝の回収率(1号艇を、モーター2連率 45以上に限って買う) | 94.0%(1号艇全体は 90.4%) |
回収率は、投じた金額に対する払い戻しの割合。100%で収支トントン、それ未満は損失になる。上の表の回収率は、どれも100%未満である。
モーター2連率は、番組表に載る、そのモーターが2着以内に入った率(%)。集計の窓の細かい定義は、この記事では検証していない。全体の平均は 33.9、標準偏差は 8.3 だった。
モーター2連率の帯別に見ると、1着率は段階的に上がる
モーター2連率を5刻みの6つの帯に分け、艇ごとの1着率を数えた。枠番は分けず、全艇をまとめている。

2024-01-01〜2026-09-26 の 140,574 レース。全艇の平均は 16.7%。
| モーター2連率 | 艇数 | 1着率 | 2連対率(2着以内) |
|---|---|---|---|
| 25未満 | 96,766 | 15.0% | 30.7% |
| 25〜30 | 151,832 | 15.5% | 31.7% |
| 30〜35 | 236,763 | 16.2% | 32.6% |
| 35〜40 | 187,934 | 17.2% | 34.1% |
| 40〜45 | 101,835 | 18.3% | 35.7% |
| 45以上 | 68,314 | 19.4% | 37.4% |
上の帯ほど1着率も2連対率も高い。帯の間に大きな段差は無く、なだらかに上がっている。
同じレースの中で並べても、同じ傾向が出た。モーター2連率がレース内で1位の艇の1着率は 19.0%、6位の艇は 14.9% で、差は 4.2 ポイントだった。順位の付け方は「測り方」に書いた(同率の艇は同じ順位を共有する)。年ごとに分けても、1位と6位の差は消えていない(下の表)。
| 年 | 1位の艇の1着率 | 6位の艇の1着率 |
|---|---|---|
| 2024 | 18.6% | 15.2% |
| 2025 | 19.4% | 14.8% |
| 2026(〜9/26) | 19.2% | 14.4% |
なお、平均枠番は帯ごとにほぼ同じ(3.49〜3.51)で、内枠の艇が高い帯に偏っているわけではない。
級別に分けても、概ね同じ形になる
選手の級別(A1・A2・B1・B2。A1が最上位)で分けて、同じ集計をした。級別が違えば選手の力が違うので、これは「強い選手が高いモーターを引いているだけ」という見方への一つの確認になる。

2024-01-01〜2026-09-26 の 140,574 レース(全艇)。
| 級別 | 25未満 | 25〜30 | 30〜35 | 35〜40 | 40〜45 | 45以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| A1 | 27.3% | 25.8% | 25.8% | 27.1% | 28.8% | 30.2% |
| A2 | 18.4% | 18.8% | 19.7% | 20.7% | 21.8% | 23.0% |
| B1 | 9.6% | 10.2% | 10.5% | 11.4% | 12.3% | 12.9% |
| B2 | 3.9% | 4.3% | 4.7% | 4.7% | 4.6% | 5.7% |
各級の「45以上 − 25未満」は、A1 が +2.8pt、A2 が +4.6pt、B1 が +3.3pt、B2 が +1.8pt。どの級でも45以上のほうが高い。
ただし、形は完全には揃っていない。
- A1 は途中で下がる。 25未満(27.3%)が、25〜30(25.8%)と30〜35(25.8%)より高い。
- B2 も途中で上下する。 35〜40 の 4.7% から 40〜45 の 4.6% へ、わずかに下がる。
なぜ A1 で逆転するのかは、今回のデータでは分からない。原因を調べていないので、推測は書かない。
級別で見ても、級の差そのものはモーターの差よりはるかに大きい。B2 の 45以上(5.7%)は、A1 の 25未満(27.3%)に遠く及ばない。
枠を固定しても、差は残る。ただし外枠ほど小さい
枠番は着順を大きく左右する。帯ごとの枠の偏りが結果を作っていないか、枠を固定して確かめた。
| 枠 | 25未満 | 25〜30 | 30〜35 | 35〜40 | 40〜45 | 45以上 | 45以上−25未満 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 50.9% | 53.4% | 53.8% | 55.6% | 56.9% | 59.9% | +9.1pt |
| 2 | 12.4% | 12.3% | 13.1% | 14.2% | 15.8% | 16.8% | +4.4pt |
| 3 | 11.1% | 11.6% | 12.1% | 13.2% | 14.1% | 15.1% | +4.0pt |
| 4 | 8.4% | 9.0% | 9.7% | 10.6% | 11.9% | 12.1% | +3.8pt |
| 5 | 5.1% | 5.0% | 5.5% | 6.0% | 7.0% | 7.4% | +2.3pt |
| 6 | 2.8% | 2.7% | 2.9% | 3.3% | 3.6% | 3.9% | +1.1pt |
2024-01-01〜2026-09-26 の 140,574 レース。枠ごとの1着率。
どの枠でも、45以上のほうが 25未満より高い。1号艇では 9.1 ポイントの差がある。1号艇の帯ごとの艇数は 10,000 超あり、1着率の誤差の目安(標準誤差)は約 0.4〜0.5 ポイント。9.1 ポイントの差は、偶然とは考えにくい大きさである。
外枠になるほど、差の絶対値は小さくなる。6号艇は 1.1 ポイントしかない。
枠と選手の力が分かっていれば、モーター2連率の上乗せは小さい
ここまでは「モーター2連率を見ると1着率が変わる」という話だった。次に、「予測の材料としてどれだけ予測が良くなるか」を測る。
1着になる確率を、ロジスティック回帰(枠番や勝率などから、1着になる確率を1本の式で出す方法)で計算し、材料を足していったときの良さを比べた。前80%のレースで学習し、後ろ20%のレース(2026-03-09 以降の 28,115 レース)で評価している。
指標は2つ使った。
- AUC: 1着になった艇を、ならなかった艇より上に並べられる確率。0.5 は当てずっぽう、1.0 は完璧。
- 損失の減り方: 確率の外れ具合(対数損失)が、「全艇に一律 16.7% を当てる予測」に比べてどれだけ減ったか。大きいほど良い。

学習 112,459 レース、評価 28,115 レース(2026-03-09 以降)。全体は 2024-01-01〜2026-09-26 の 140,574 レース。
| 使った列 | AUC | 損失の減り方 |
|---|---|---|
| モーター2連率だけ | 0.526 | 0.11% |
| 枠番だけ | 0.787 | 20.68% |
| 選手の全国勝率だけ | 0.667 | 5.56% |
| 枠番+全国勝率 | 0.825 | 24.64% |
| 枠番+全国勝率+モーター2連率 | 0.826 | 24.74% |
読み方は次のとおり。
- モーター2連率だけでは、ほぼ当てずっぽうに近い。 AUC は 0.526 で、0.5 に近い。
- 枠番が最も大きい。 枠番だけで、損失の減り方は 20.68%。
- 枠番と全国勝率がそろったところにモーター2連率を足しても、AUC は 0.825 → 0.826、損失の減り方は 24.64% → 24.74% と、ほぼ動かない。
もう一つ、同じ式の係数で比べる。枠番と全国勝率が同じ艇どうしで、モーター2連率が10ポイント高いと、1着のオッズ比(1着になる確率の勝ちやすさ)は約 1.11 倍。全国勝率が1.0高いと約 1.64 倍になる。モーター2連率の10ポイントは、全国勝率でいえば約 0.22 点ぶんにあたる。
標準偏差1つぶんずつ動かしたときの影響の大きさを比べると、全国勝率はモーター2連率の約 7.2 倍だった。この数字は、モーター2連率の標準偏差が 8.3、全国勝率の標準偏差が 1.32 のもとでの比較である。
モーター2連率は「影響しない」のではない。影響の大きさが、枠番や選手の力に比べてずっと小さい。
また、モーター2連率と選手の全国勝率の相関は、順位相関(値そのものでなく大小の順位で測る相関係数。−1〜+1で、0が無関係)で +0.032 と、ほぼ無関係だった。「強い選手がたまたま高いモーターに乗っている」ために差が出ている、という説明は、この期間の実測とは合わない。
単勝を買っても、100%には届かない
最後に、実際に買った場合の回収率を測る。1レースにつき、その艇の単勝を100円買うものとした。
| 買い方 | 艇数 | 回収率 |
|---|---|---|
| 6艇すべて(基準) | 843,444 | 68.0% |
| モーター2連率がレース内で1位の艇 | 142,064 | 72.4% |
| 同2位 | 141,342 | 69.9% |
| 同3位 | 140,851 | 68.3% |
| 同4位 | 140,489 | 67.1% |
| 同5位 | 139,952 | 67.0% |
| 同6位 | 138,746 | 63.0% |
2024-01-01〜2026-09-26 の 140,574 レース。
順位が上がるほど回収率も上がる。1位は基準(68.0%)より 4.4 ポイント高い。それでも 72.4% で、100% よりずっと低い。
1号艇だけに絞り、モーター2連率の帯で分けると、次のとおり。

2024-01-01〜2026-09-26 の 140,574 レース(1号艇のみ)。
| モーター2連率 | 1号艇の数 | 1着率 | 単勝の回収率 |
|---|---|---|---|
| 25未満 | 15,880 | 50.9% | 87.4% |
| 25〜30 | 24,965 | 53.4% | 90.5% |
| 30〜35 | 39,276 | 53.8% | 89.5% |
| 35〜40 | 31,573 | 55.6% | 90.7% |
| 40〜45 | 17,173 | 56.9% | 91.5% |
| 45以上 | 11,707 | 59.9% | 94.0% |
1号艇全体の回収率は 90.4%。帯ごとには 87.4〜94.0% で、100%を超えた区分は1つも無かった。 一番高い 45以上でも 94.0% で、損失の側にある。
隣り合う帯の回収率は、単調には並んでいない(25〜30 は 90.5% で、30〜35 の 89.5% より高い)。回収率の誤差幅は、今回計算していない。区分ごとの数字の小さな上下から、傾向を読み取ることはできない。
1着になりやすい艇ほど、オッズも低くなる。モーター2連率が高い艇は当たりやすくなるが、その分、払い戻しが減っている。 ただし、これは今回の数字から見える傾向の解釈で、オッズにモーター2連率がどこまで織り込まれているかは、この記事では測っていない。
この記事で言えないこと
- 因果は言えない。 モーター2連率が高いから勝つのか、高いモーターに何かが共通しているのか、数字だけでは区別できない。
- 除外したレースの結果は分からない。 「1艇でもモーター2連率が 0.0 のレース」は 11,171 レース(対象前の 154,104 レースの 7.2%)を除いた。0.0 が何を意味するのか(未算出か、新しいモーターか)は確認していない。0.0 の艇は4月に多く、4月の出走数に対する 0.0 の件数は 2024 年 3,404/26,960、2025 年 3,853/25,458、2026 年 4,494/26,256 だった。
- 展示タイムなど、直前の情報は今回使っていない。 この記事で見たのは、番組表に載るモーター2連率だけ。
- モーター2連率を、買い方として使えるとは言っていない。 上の回収率のとおり、どの区分も損失だった。
測り方
- 期間と対象: 2024-01-01〜2026-09-26。DB に入っている 154,104 レースのうち、次を除いた 140,574 レース(843,444 艇)。
- 6艇の出走が揃わない(482 レース)
- 6艇のうち1艇でも、モーター2連率が 0.0 になっている(11,171 レース)
- 1着の艇がいない(結果なし・中止など。1,800 レース)
- 単勝の払戻の行が無い(77 レース)
- 失格・欠場の艇: 1着にも2連対にも数えない(1着率・2連対率の分母には入っている)。
- 1着率・2連対率: 各艇について、1着(2着以内)になった割合。全艇の平均は、1着率 16.7%、2連対率 33.3%(6艇のうち1艇、6艇のうち2艇なので、ほぼ決まった値)。
- 帯の切り方: 25・30・35・40・45 で区切った。探索の途中で 20 未満・20〜25 を分けた7区分も見たが、傾向は同じだった。本文は6区分に統一した。
- 予測の評価: 対象レースを日付順に並べ、前80%(112,459 レース)で学習、後20%(28,115 レース、2026-03-09 以降)で評価した。手法はロジスティック回帰。枠番は6つの値として、全国勝率とモーター2連率は数値として使った。係数とオッズ比は、対象の全レースで当てはめ直したもの。
- 回収率: 単勝を100円ずつ買った場合の、払戻合計 ÷ 購入額。同着で単勝の払戻が2つあるレースは、当たった艇の払戻をそのまま数えた。
- モーター2連率の順位: レース内で値の大きい順に付ける。同率の艇は同じ順位を共有し、次の順位は飛ぶ(1位が2艇同率なら、どちらも1位で、次は3位)。最下位が同率のときも同じで、たとえば最下位が2艇同率ならどちらも5位になり、そのレースに6位の艇は出ない。このため、1位の艇数(142,064)はレース数(140,574)より多く、6位の艇数(138,746)は少ない。同率1位のレースは 1,422 レースあった。「6位の艇」は、同率最下位を含まない。
- 数字の出どころ: すべて自前の DB(番組表・競走成績・払戻)から数え直した。以前の記事の数字は流用していない。
免責
- 本記事に記載した数値はすべて過去データに対する実測であり、将来の的中や利益を保証するものではありません。
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