競艇は雨で荒れるのか。天候別に15万レースを数えると、雨は1号艇の1着率が1ポイント弱下がるだけで、万舟率はほぼ変わらなかった

会場と条件 公開

「雨の日は荒れる」「雪は水面が読めない」。競艇ではよく聞く言い方だ。

では、数字の上でも雨や雪のレースは荒れるのか。モデルの予測は使わず、2024-01-01〜2026-09-30 の152,494レースを、レースごとに記録された天候(晴・曇り・雨・雪・霧)で分けて数えた。

結論を先に書く。

  • 雨(15,358レース)の1号艇1着率は53.9%。晴の54.8%より0.9ポイント低い。会場と月をそろえて比べても、差は1.2ポイントだった。期間を半分に分けても、両方で雨の方が低い。
  • ただし、万舟率(3連単が1万円以上になった割合)は雨16.8%・晴16.7%で、ほぼ同じ。 3連単配当の中央値は雨の方が少し低い。「雨でインが少し弱くなる」とは言えても、「雨で荒れる」とまでは言えない。
  • 雪(660レース)は万舟率19.7%で、晴より3ポイント高い。ただし件数が少なく、雪の日は風も強い(風速5m以上が41.2%)。期間を分けると1号艇1着率の向きが逆になる。雪そのものの影響とは切り分けられない。
  • 霧は2レースしかないので、何も言えない。
  • 1号艇の単勝を買い続けた回収率は、どの天候でも100%に届かない(晴91.6%・雨88.6%・雪86.1%)。

天候ごとのレース数は、晴が6割、雨が1割

まず、天候ごとに何レースあるかを数えた。

天候 レース数 割合
晴 93,720 61.5%
曇り 42,754 28.0%
雨 15,358 10.1%
雪 660 0.4%
霧 2 0.0%

雨は約1割ある。会場と日の組み合わせで数えると2,792開催日ぶんで、比べるには十分な量だ。

雪は660レースで、167開催日ぶんしかない。しかも三国だけで149レース(22.6%)を占める。雪の数字は、特定の会場と特定の冬に大きく左右される。霧は2025-05-21の鳴門の1R・2Rの2レースだけだった。


1号艇の1着率は、雨で1ポイント弱下がる

「堅い・荒い」を測る物差しは1つに決まらない。この記事では次の3つを使う。

  • 1号艇1着率: 一番内側の1号艇が1着になった割合。競艇は1号艇が圧倒的に有利なので、これが高いほど「堅い」。
  • 万舟率: 3連単(1〜3着を着順どおりに当てる舟券)の配当が1万円以上だった割合。高いほど「荒れた」。
  • 3連単配当の中央値: 配当を小さい順に並べた真ん中の値。平均は一部の超高配当に引っ張られるので、中央値で見る。

1号艇の1着率は、雨で1ポイント弱下がる

天候別の1号艇1着率。2024-01-01〜2026-09-30 の152,494レース。霧(2レース)は除いた。

天候 レース数 1号艇1着率 万舟率 3連単配当の中央値
晴 93,720 54.8% 16.7% 2,550円
曇り 42,754 54.8% 16.5% 2,540円
雨 15,358 53.9% 16.8% 2,510円
雪 660 52.7% 19.7% 2,760円

雨の1号艇1着率は53.9%で、晴・曇りの54.8%より0.9ポイント低い。

この差が偶然の範囲かどうかも見た。95%信頼区間(同じ条件でデータを取り直したとき、真の値がだいたい入る範囲)は、雨が53.1〜54.6%、晴が54.4〜55.1%だった。重なりはごくわずかで、偶然だけで出た差とは考えにくい。ただし、差の大きさ自体は1ポイントに満たない。

曇りと晴は、1着率も万舟率もほとんど同じだった。


競艇は雨で荒れるのか。万舟率はほぼ変わらない

1号艇が少し負けやすくなるなら、高配当も増えそうに思える。ところが万舟率はそうなっていない。

万舟率は、雨でもほぼ変わらない

3連単の配当が1万円以上だった割合。2024-01-01〜2026-09-30 の152,494レース。霧(2レース)は除いた。

雨の万舟率は16.8%で、晴の16.7%とほぼ同じ。3連単配当の中央値は雨2,510円・晴2,550円で、雨の方がむしろ少し低い。

1号艇が負けても、2号艇や3号艇が勝って配当がそこまで跳ねなければ、万舟にはならない。雨で起きているのは「インが少し負ける」程度の変化で、配当が大きく荒れるほどではない、という読み方が数字に合う。


雨の日は風が弱い。雪の日は風が強い

ここで1つ確かめておくことがある。交絡(比べたい要因とは別の要因が、結果に混ざって見えること)だ。

「雨の日は風も強いから荒れるのでは」という疑いがある。風と波が強いと1号艇は負けやすくなる。もし雨の日に風が強ければ、雨のせいに見えて実は風のせい、ということが起きる。

雪の日は風が強い。雨の日はむしろ晴より弱い

風速5m以上だったレースの割合。2024-01-01〜2026-09-30 の152,494レース。

天候 平均風速 風速5m以上の割合 平均波高 波高5cm以上の割合
晴 3.0m 18.1% 2.7cm 13.9%
曇り 2.5m 12.2% 2.3cm 11.3%
雨 2.3m 12.7% 2.2cm 11.5%
雪 4.2m 41.2% 4.1cm 40.0%

このデータでは、雨の日は晴の日より風が弱い。 風速5m以上の割合は、晴18.1%に対して雨12.7%だった。つまり雨の1着率が低いのは、風のせいではない。風をそろえると、差はむしろ広がる(次の節)。

反対に、雪の日は風が強い。 風速5m以上が41.2%で、晴の2倍を超える。雪の数字には、風と波の影響がかなり混ざっている。


風の強さをそろえて比べる

風速を3つの帯に分け、同じ帯の中で天候を比べた。

風速 天候 レース数 1号艇1着率 万舟率
0〜2m 晴 40,042 57.9% 15.7%
0〜2m 曇り 24,084 56.1% 16.3%
0〜2m 雨 9,534 55.8% 15.7%
3〜4m 晴 36,717 53.9% 17.2%
3〜4m 曇り 13,446 54.1% 16.2%
3〜4m 雨 3,876 51.4% 18.0%
5m以上 晴 16,961 49.3% 18.1%
5m以上 曇り 5,224 50.6% 18.2%
5m以上 雨 1,948 49.1% 20.3%

どの天候でも、風が強くなるほど1号艇1着率は下がり、万舟率は上がる。 天候よりも風の方が、ずっと大きく数字を動かしている。晴の中だけでも、風0〜2mと5m以上で1着率は8.6ポイント違う。

雨と晴の差は、帯によってばらつく。0〜2mでは2.0ポイント、3〜4mでは2.6ポイント雨が低い。5m以上ではほぼ差が無い(0.2ポイント)。ただし、0〜2mでは曇りと雨がほぼ同じで、晴だけが高い。「雨だから低い」のか「晴の無風が特に堅い」のかは、この表だけでは区別できない。


同じ会場・同じ月の晴と雨を比べても、差は1〜2ポイント

交絡は風だけではない。雨の多い会場(大村14.0%)と少ない会場(尼崎7.4%)があり、季節(6月は19.1%、1月は4.1%)でも雨の割合は大きく変わる。会場や季節が違えば、もともとの堅さも違う。

そこで、雨のレース1件ごとに、同じ会場・同じ年月の晴と曇りのレースを基準として当てる比べ方もした。会場と季節をそろえた上での差を見るためだ。

比べ方 対象 1号艇1着率(実測 → 基準) 万舟率(実測 → 基準)
同じ会場・同じ年月 雨 15,343レース 53.8% → 55.0%(−1.2) 16.8% → 16.3%(+0.5)
同じ会場・同じ年月・同じ風速帯 雨 15,064レース 54.0% → 55.7%(−1.7) 16.7% → 16.1%(+0.6)
同じ会場・同じ年月 曇り 42,722レース(基準は晴) 54.8% → 54.3%(+0.5) 16.5% → 16.7%(−0.2)

会場と季節をそろえると、雨の1着率の差は1.2ポイント、風までそろえると1.7ポイントになった。単純比較の0.9ポイントより少し広がる。 雨の日は風が弱いぶん、単純比較では差が隠れていたことになる。

一方で万舟率は、そろえても+0.5〜+0.6ポイントにとどまる。3連単配当の真ん中の目安(幾何平均。配当の対数を平均して元に戻した値で、極端な高配当に引っ張られにくい)も、雨3,007円・基準3,005円でほぼ同じだった。

会場ごとの雨の割合と、会場ごとの1号艇1着率の相関(2つの数字が一緒に動く度合い。1に近いほど強い)は0.06で、ほとんど関係が無かった。雨の多い会場がもともと荒れやすい、という構図にはなっていない。

弱める材料もある

同じ会場の同じ日に、晴・曇りのレースと雨のレースが両方あったもの(途中で降り出した日など)だけで比べると、逆の結果になった。雨の1,197レースで、1号艇1着率は56.1%、同じ日の晴・曇りを基準にすると54.4%で、雨の方が高い。

1,197レースは少ないので、この程度の差は揺れの範囲に入る。それでも、「雨だとインが弱くなる」を強く言い切れない材料として書いておく。

冬(12〜3月)だけで比べても、雨の1号艇1着率は54.6%で、晴(54.8%)とほとんど変わらなかった。雨の差がどの季節から来ているかまでは、今回は切り分けていない。


雨の日はフライングが少し多い

スタートの合図より早く線を越えるフライングは、その艇が失格になり、舟券は返還される。雨で視界が悪くなるとスタートに影響するのでは、と考えて数えた。

天候 フライングが出たレースの割合 件数
晴 1.50% 1,410
曇り 1.60% 682
雨 1.88% 288
雪 1.52% 10

雨は1.88%で、晴より0.37ポイント高い。同じ会場・同じ年月でそろえても、雨1.88%に対して基準1.59%だった。期間を半分に分けても、前半1.84%・後半1.91%で、どちらも晴(1.64%・1.37%)より高い。

ただし、これが雨によるものなのかは確かめていない。差もレース100件あたり0.3件ほどである。


雪は万舟率が高めに出るが、件数が少なく風も強い

雪の660レースを、同じ会場・同じ年月の晴と曇りを基準にして比べた。

雪の比べ方 レース数 1号艇1着率(実測 → 基準) 万舟率(実測 → 基準)
全期間 660 52.7% → 55.5%(−2.8) 19.7% → 15.8%(+3.9)
前半(2024-01-01〜2025-05-17) 410 50.2% → 56.4%(−6.1) 20.7% → 15.7%(+5.0)
後半(2025-05-18〜2026-09-30) 250 56.8% → 54.1%(+2.7) 18.0% → 16.1%(+1.9)

万舟率は、前半も後半も基準より高い。一方、1号艇1着率は前半で6.1ポイント低く、後半では2.7ポイント高い。向きが逆になっている。

660レースは少ない。1号艇1着率の95%信頼区間は48.9〜56.5%と、幅が7ポイント以上ある。万舟率も16.8〜22.9%で、下の端は晴の16.7%とほぼ同じ位置にある。

さらに、雪の日は風速5m以上が41.2%と、風の強い日に偏っている。風速帯で分けると、雪の1号艇1着率は0〜2mで53.2%(173レース)、3〜4mで48.4%(215レース)、5m以上で55.9%(272レース)と、並びに一貫性が無い。1つの帯に200レース前後しか無いので、ばらつきに埋もれている。

雪について言えるのは、「この期間では万舟率が高めに出た。ただし件数が少なく、風の影響と分けられない」 までである。


1号艇の単勝を買い続けた回収率は、どの天候でも100%に届かない

最後に、お金の面から見る。1号艇の単勝(1着の艇を1つだけ当てる舟券)を、天候ごとに毎レース100円買い続けたと仮定した。回収率は、買った金額に対して戻ってきた金額の割合で、100%で収支ゼロ、それ未満は損になる。

1号艇の単勝を買い続けた回収率(天候別)

1号艇がフライング・欠場で返還されたレースは、買わなかった扱いで除いた。2024-01-01〜2026-09-30 の152,494レース。

天候 購入レース数 回収率 前半 後半
晴 93,042 91.6% 91.5% 91.6%
曇り 42,454 90.9% 91.0% 90.8%
雨 15,235 88.6% 89.5% 87.6%
雪 657 86.1% 81.8% 93.0%

雨は晴より3.0ポイント低く、前半・後半とも晴を下回った。1着率の低下(約1ポイント)に対して、オッズが十分には下がっていない可能性がある。ただし、ここは確かめていない。

いずれにせよ、どの天候でも回収率は100%に届かない。 競艇の舟券は、売上の一部を主催者が先に差し引いてから配当に回す。この差し引かれる割合を控除率と呼ぶ。何も考えずに買い続けると100%を割るのはそのためだ。雪の後半93.0%は250レースだけの数字で、前半は81.8%だった。


期間を半分に分けても、雨の傾向は同じ

偶然そう見えただけではないかを確かめるため、期間をレース数でほぼ半分に分けた。

天候 前半の1号艇1着率 後半の1号艇1着率 前半の万舟率 後半の万舟率
晴 54.9% 54.7% 16.8% 16.6%
曇り 55.1% 54.5% 16.6% 16.4%
雨 54.0% 53.7% 17.0% 16.7%
雪 50.2% 56.8% 20.7% 18.0%

前半は2024-01-01〜2025-05-17(76,189レース)、後半は2025-05-18〜2026-09-30(76,305レース)。雨は前半・後半とも、1号艇1着率が晴より約1ポイント低く、万舟率はほぼ同じだった。雪だけが、前後半で大きく動く。


測り方の詳細数え方と対象の決め方。読まなくても本文の結論は変わりません
  • 期間とレース数: 2024-01-01〜2026-09-30。DBの最初の日付から、執筆日(2026-10-01)の前日までの全データを使った。
  • 母集団: 天候の記録があり、3連単の払戻データがある152,494レース。DBのraceテーブルにある同期間の154,692レースのうち、競走成績(天候など)の記録が無い1,957レースと、天候はあるが3連単の払戻が無い241レースを除いた。フライングや欠場の艇がいるレースも含めている。
  • 天候: 公式の競走成績に、レースごとに記録された値(晴・曇り・雨・雪・霧の5種類)。レース後の記録なので、締切前に見られる直前情報の天候と一致するかは確かめていない。風速・波高も同じ競走成績の値である。
  • 1号艇1着率: 1号艇の着順が1着だったレースの割合。1号艇がフライング・欠場したレースも分母に入れ、1着ではない扱いにした。
  • 万舟率: 3連単の払戻が10,000円以上だったレースの割合。
  • 会場・年月をそろえた比べ方: 雨(または雪)のレース1件ごとに、同じ会場・同じ年月の晴と曇りのレースの平均値を基準として当て、それを平均した。基準のレースが10件未満の組み合わせは除いた(雨で15件、風速帯までそろえた場合は294件が外れた)。
  • 1号艇の単勝回収率: 1号艇の単勝を毎レース100円買った場合の、払戻の合計÷購入額。1号艇がフライング・出遅れ・欠場で返還されるレースは購入に含めていない。
  • 既刊記事との関係: 以前の記事(枠番別の強さを数えた記事)で書いた1号艇の1着率55.31%・単勝回収率91.61%は、6艇が完走したレースに絞った集計で、数えた時点のDBも今より小さい。本記事は完走に絞っておらず、全体の1号艇1着率は54.7%・単勝回収率は91.1%になる。母集団と期間の違いによるもので、同じ数字ではない。
  • この記事の集計はすべて過去データを数えたもので、モデルの予測は使っていない。

まとめ

  • 雨(15,358レース): 1号艇1着率は53.9%で、晴より0.9ポイント低い。会場・季節・風をそろえると1.2〜1.7ポイントの差になり、前後半でも同じ向きだった。ただし、同じ日の中だけで比べると逆になる例もある。
  • それでも、雨で荒れるとまでは言えない。 万舟率は雨16.8%・晴16.7%でほぼ同じ。3連単配当の中央値は雨の方が少し低い。
  • 天候より風の方が数字を大きく動かす。 晴の中だけでも、風0〜2mと5m以上で1号艇1着率は8.6ポイント違う。そして、雨の日はむしろ風が弱い。
  • 雪(660レース): 万舟率19.7%と高めだが、件数が少なく、風の強い日に偏っている。1号艇1着率は前後半で向きが逆になる。雪そのものの影響とは言えない。
  • 霧(2レース): 何も言えない。
  • 1号艇の単勝回収率は、どの天候でも100%を割る(晴91.6%・雨88.6%・雪86.1%)。

「雨の日は荒れる」という言葉は、「インがほんの少し負けやすくなる」くらいに割り引いて聞くのが、数字には合っている。天候を見るなら、同時に風速も見た方がいい。


免責

  • 本記事に記載した数値はすべて過去データに対する実測であり、将来の的中や利益を保証するものではありません。
  • 本記事および言及したツールは分析の補助を目的としており、舟券の購入を勧誘するものではありません。
  • 舟券は20歳未満の方は購入できません。
  • 舟券の購入は自己責任で、生活に必要な資金とは別の、余裕資金の範囲で行ってください。のめり込みには十分ご注意ください。

同じ分類の記事(会場と条件)

分析記事の一覧へ