競艇は風で荒れるのか。15万レースを風速別に数えると、逃げは7m以上で43.4%まで減った。風向の差は、期間を変えると3割ほどに縮んだ
「風が強い日は荒れる」「向かい風ならまくり、追い風なら差し」「荒れる戸田」。競艇では、風と会場の話がよく出る。
では、数字の上で風はどれだけ決まり手を動かすのか。モデルの予測は使っていない。2024-01-01〜2026-10-03 の152,986レースを、レースごとに記録された風速・風向で分けて、決まり手(そのレースの1着艇がどう勝ったか)を数えた。
結論を先に書く。
- 風が強いほど、逃げ(1コースの艇がそのまま先頭で回る勝ち方)は決まらなくなる。 風速1〜2mでは55.3%、7m以上では43.4%。同じ会場・同じ月で比べても、7m以上で9.7ポイント下がる。期間を前後半に分けても、両方で同じ向きだった。
- 逃げが減った分は、まずまくりが増え、7m以上になると差しと抜きも同じくらい増える。 まくり差しはほとんど変わらない。
- 24会場のうち22会場で、風速5m以上の日は0〜2mの日より逃げが少なかった。残る2会場(江戸川・平和島)は、ほぼ差が無い。
- 「荒れる戸田」は、風だけでは説明できない。 戸田は24会場で2番目に風が弱い。それでも無風の日の逃げは42.2%で、他の23会場の7m以上の日(44.0%)と同じくらいの水準だった。
- 風向の差は小さく、再現しにくい。 会場ごとに、前半の期間で一番逃げにくかった方位を選んだ。その方位の差は、後半には4.4ポイントから1.2ポイントに縮んだ。後半でも一番逃げにくい方位のままだったのは20会場中5会場(うち1会場は同点の最下位)で、偶然でも4〜5会場は当たる数だった。
- 枠番別に単勝を買い続けた回収率は、風が強いほど1号艇が下がり、2号艇・3号艇は上がる傾向にある。それでも、どの風速・どの枠でも100%には届かない。
データの中身: 風速は整数のm、風向は8方位と「無風」
DBのrace_conditionテーブルにある値を、そのまま使った。公式の競走成績に、レースごとに記録されている値である。
- 風速: 整数のメートル。0〜15mで、欠損は0件。
- 風向: 北・北東・東・南東・南・南西・西・北西の8方位と、「無風」の9種類。「無風」は風速0mのレースと完全に一致する(9,683件)。欠損は0件。
- 決まり手: 逃げ・差し・まくり・まくり差し・抜き・恵まれの6種類。記録の無いレースが22件あり、集計から外した。
風速は、件数がそろうように5つの帯に分けた。
| 風速 | レース数 | 割合 |
|---|---|---|
| 無風(0m) | 9,683 | 6.3% |
| 1〜2m | 64,322 | 42.0% |
| 3〜4m | 54,490 | 35.6% |
| 5〜6m | 18,604 | 12.2% |
| 7m以上 | 5,887 | 3.8% |
風向の扱いには注意が要る。 記録は「北」「南西」といった東西南北の方位である。「追い風」「向かい風」のような、水面のコースに対する向きではない。会場ごとにコースの向きが違うので、同じ「北風」でも、ある会場では追い風、別の会場では向かい風になりうる。DBにはコースの向きの情報が無いので、この記事では方位を追い風・向かい風に変換していない。風向は、同じ会場の中で方位どうしを比べる形でだけ扱った。
風が強いほど、逃げは決まらなくなる
決まり手の言葉を先に整理しておく。
- 逃げ: 1コース(一番内側)から出た艇が、最初のターンを先頭で回ってそのまま勝つ。
- まくり: 外側の艇が、内側の艇の外を回って一気に抜く。
- 差し: 外側の艇が、先に回った内側の艇のさらに内側を突いて抜く。
- まくり差し: まくりと差しを合わせた動き。外から内側へ切り込む。
- 抜き: 最初のターンの後、周回の途中で前の艇を抜く。
- 恵まれ: 前を走る艇の失格などで、繰り上がって1着になる。

風速帯ごとの、逃げで決まったレースの割合。2024-01-01〜2026-10-03 の152,986レース。
| 風速 | レース数 | 逃げ | まくり | 差し | まくり差し | 抜き | 恵まれ | 1号艇1着率 | 万舟率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 無風(0m) | 9,683 | 53.9% | 15.9% | 12.1% | 11.9% | 5.4% | 0.8% | 55.6% | 16.2% |
| 1〜2m | 64,322 | 55.3% | 14.2% | 12.0% | 11.7% | 6.0% | 0.8% | 57.2% | 15.9% |
| 3〜4m | 54,490 | 51.5% | 16.1% | 12.5% | 12.3% | 6.9% | 0.7% | 53.8% | 17.0% |
| 5〜6m | 18,604 | 48.0% | 17.9% | 13.4% | 12.2% | 7.9% | 0.7% | 50.6% | 18.5% |
| 7m以上 | 5,887 | 43.4% | 18.3% | 16.2% | 11.9% | 9.2% | 0.8% | 46.6% | 18.0% |
1〜2mから先は、風が強くなるごとに逃げが減る。55.3%→51.5%→48.0%→43.4%で、7m以上では1〜2mより約12ポイント低い。万舟率(3連単の配当が1万円以上になった割合)も、15.9%から18%台に上がる。
逃げと1号艇1着率は、少しずれる。前づけ(外の枠の艇が内側のコースを取りに行くこと)で1号艇以外が1コースに入れば、その艇の逃げになる。1号艇が抜きや恵まれで勝つこともある。この記事は決まり手の話なので、主に逃げの割合を見る。
95%信頼区間(同じ条件でデータを取り直したとき、真の値がだいたい入る範囲)は、1〜2mが54.9〜55.7%、7m以上が42.2〜44.7%だった。偶然の揺れで説明できる差ではない。
無風が1〜2mより逃げにくく見えるのは、会場の偏りのせい
表で1つ引っかかるのは、無風(53.9%)の逃げが1〜2m(55.3%)より低いことだ。風が無い方が逃げやすそうなのに、逆になっている。
理由は、無風のレースがどの会場で起きているかにある。無風の割合は、住之江が35.6%、戸田が26.7%と飛び抜けて高い。全体の無風9,683レースのうち、17.7%が戸田である。戸田は全レースの4.2%しか占めないのに、無風のレースには4倍以上の割合で入っている。そして戸田は、後で見るように24会場で最も逃げが決まりにくい会場だ。
同じ会場・同じ年月の1〜2mのレースと比べ直すと、無風の逃げは53.9%、基準は52.6%で、無風の方が約1.4ポイント高い(差は四捨五入する前の値から計算した)。会場をそろえれば、無風はやはり逃げやすい側に入る。
同じ会場・同じ月で比べても、7m以上で逃げは約10ポイント下がる
風の強い会場と弱い会場がある。江戸川はレースの49.5%が風速5m以上で、住之江は4.4%しかない。会場が違えば、もともとの逃げやすさも違う。単純比較の差には、交絡(比べたい要因とは別の要因が、結果に混ざって見えること)が入っているおそれがある。
そこで、風の強いレース1件ごとに、同じ会場・同じ年月の1〜2mのレースの平均を基準として当てた。会場と季節をそろえた上で、風だけが違う比べ方である。基準のレースが10件未満の組み合わせは除いた。
| 風速 | 対象レース | 逃げ(実測→基準) | 逃げの差 | まくり | 差し | まくり差し | 抜き | 1号艇1着率 | 万舟率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 3〜4m | 53,657 | 51.6%→55.4% | −3.7 | +1.9 | +0.6 | +0.6 | +0.7 | −3.5 | +1.2 |
| 5〜6m | 17,827 | 48.1%→54.3% | −6.2 | +3.5 | +1.1 | +0.3 | +1.5 | −5.7 | +2.8 |
| 7m以上 | 5,299 | 43.3%→53.0% | −9.7 | +3.3 | +3.2 | +0.5 | +2.6 | −8.4 | +1.8 |
単位はポイント(基準との差)。差は四捨五入する前の値から計算したので、表の%どうしを引き算した値と0.1ずれることがある。2024-01-01〜2026-10-03。
会場と月をそろえても、逃げは3〜4mで3.7ポイント、5〜6mで6.2ポイント、7m以上で9.7ポイント下がる。風の効果は、会場の違いだけでは説明できない。
万舟率は5〜6mで+2.8ポイント、7m以上で+1.8ポイントだった。風が強いほど一直線に荒れる、という並びにはなっていない。 7m以上は5,299レースと少なく、このくらいの揺れは起こりうる。
逃げが減った分は、まくり・差し・抜きに回る

決まり手ごとの、レース全体に占める割合。無風は会場の偏りが大きいので外した。2024-01-01〜2026-10-03 の152,986レースのうち、無風を除く143,303レース。
会場と月をそろえた表で、逃げが減った分の行き先を見る。
- 5〜6mでは、増えた分の多くがまくり(+3.5)。 差しは+1.1、抜きは+1.5。
- 7m以上になると、差しの増え幅(+3.2)がまくり(+3.3)と並ぶ。 抜きも+2.6まで増える。
- まくり差しは、どの風速でも+0.3〜+0.6でほとんど動かない。
抜きが増えるのは、最初のターンの後に順位が入れ替わる回数が増えている、ということだ。風と一緒に波も高くなる(このデータでは、風速と波高の相関が0.74)。荒れた水面では、先頭の艇も周回中に抜かれやすくなる、という読み方が数字に合う。ただし、風と波は一緒に動くので、この記事ではどちらの影響かを分けていない。
前後半に分けても、同じ形が出た。前半は2024-01-01〜2025-05-18(76,369レース)、後半は2025-05-19〜2026-10-03(76,617レース)。
| 期間 | 風速 | 対象レース | 逃げの差 | まくりの差 | 差しの差 |
|---|---|---|---|---|---|
| 前半 | 5〜6m | 9,483 | −6.0 | +3.8 | +0.6 |
| 前半 | 7m以上 | 2,981 | −9.0 | +2.8 | +2.7 |
| 後半 | 5〜6m | 8,344 | −6.4 | +3.2 | +1.6 |
| 後半 | 7m以上 | 2,318 | −10.7 | +4.0 | +3.8 |
どちらの期間でも、5〜6mではまくりが先に増え、7m以上で差しが追いつく。
「向かい風ならまくり、追い風なら差し」という言い方がある。この記事では風向をコースに対する向きに変換できていないので、これは確かめていない。 言えるのは、風速が上がると、まくりと差しの両方が増えるところまでである。
24会場中22会場で、強風の日は逃げが減る
会場ごとに、風速0〜2mの日と5m以上の日の逃げを比べた。
| 会場 | 0〜2mのレース数 | 0〜2mの逃げ | 5m以上のレース数 | 5m以上の逃げ | 差 |
|---|---|---|---|---|---|
| 若松 | 2,769 | 60.5% | 1,105 | 45.9% | −14.6 |
| 浜名湖 | 2,213 | 54.4% | 1,534 | 42.4% | −11.9 |
| 常滑 | 3,414 | 58.1% | 1,016 | 46.4% | −11.8 |
| 鳴門 | 3,050 | 49.1% | 1,017 | 37.6% | −11.5 |
| 唐津 | 1,952 | 58.2% | 1,562 | 46.8% | −11.4 |
| 下関 | 3,207 | 62.5% | 778 | 51.4% | −11.1 |
| 蒲郡 | 3,504 | 58.4% | 459 | 47.9% | −10.5 |
| びわこ | 3,150 | 55.0% | 738 | 45.0% | −10.0 |
| 芦屋 | 2,611 | 60.4% | 1,114 | 50.5% | −9.8 |
| 児島 | 3,076 | 56.5% | 610 | 46.7% | −9.7 |
| 徳山 | 2,635 | 63.3% | 740 | 53.6% | −9.7 |
| 宮島 | 3,486 | 56.2% | 648 | 46.9% | −9.3 |
| 桐生 | 3,709 | 52.0% | 923 | 43.0% | −9.0 |
| 丸亀 | 3,774 | 57.2% | 1,034 | 49.7% | −7.5 |
| 三国 | 2,799 | 52.6% | 1,444 | 45.4% | −7.2 |
| 戸田 | 4,151 | 41.6% | 880 | 35.8% | −5.8 |
| 津 | 2,715 | 56.4% | 1,181 | 50.7% | −5.7 |
| 住之江 | 4,843 | 56.9% | 282 | 52.1% | −4.8 |
| 多摩川 | 4,038 | 52.5% | 630 | 49.2% | −3.2 |
| 尼崎 | 2,084 | 56.9% | 1,670 | 54.6% | −2.3 |
| 福岡 | 2,427 | 55.6% | 465 | 54.2% | −1.4 |
| 大村 | 4,638 | 59.0% | 681 | 58.4% | −0.6 |
| 江戸川 | 841 | 44.5% | 2,821 | 44.5% | +0.0 |
| 平和島 | 2,919 | 42.0% | 1,159 | 42.2% | +0.2 |
2024-01-01〜2026-10-03。差はポイント。下がり幅の大きい順。
24会場中22会場で、5m以上の日の方が逃げが少ない。真ん中あたりの会場で9ポイントほど下がる。
表の上の方の会場を「風に弱い会場」と読むのは早い。 24会場を並べれば、偶然だけでもどこかが一番上に来る。以前の記事「会場ランキングの罠」で数えた、多重比較の問題だ(たくさんの候補から結果を見て一番を選ぶと、本当は差が無くても差があるように見える)。5m以上のレースは、住之江で282件、蒲郡で459件しかない。順位の細かい違いには、この揺れが乗っている。言えるのは、ほぼ全会場で同じ向きに下がる、というところまでだ。
下がらなかった2会場のうち、江戸川は24会場で一番風が強い(平均4.62m、5m以上が49.5%)。それでも0〜2mと5m以上で逃げは同じ44.5%だった。江戸川では、0〜2mの日が841件しかない。理由は確かめていない。
「荒れる戸田」は、風が弱くても荒れている
戸田は、24会場で一番逃げが決まらない会場だ(全期間で40.4%。次が平和島の41.8%)。では、戸田は風が強いから荒れるのか。
数字は逆を示す。戸田の平均風速は2.19mで、24会場中2番目に弱い(一番弱いのは住之江の1.59m)。無風のレースが26.7%もある。

風速帯ごとの逃げの割合。戸田と、それ以外の23会場。2024-01-01〜2026-10-03 の152,986レース(うち戸田6,432レース)。
| 風速 | 戸田のレース数 | 戸田の逃げ | 戸田のまくり | 他23会場の逃げ | 他23会場のまくり |
|---|---|---|---|---|---|
| 無風(0m) | 1,716 | 42.2% | 24.7% | 56.4% | 14.0% |
| 1〜2m | 2,435 | 41.2% | 26.1% | 55.8% | 13.7% |
| 3〜4m | 1,401 | 39.6% | 26.7% | 51.8% | 15.8% |
| 5〜6m | 521 | 36.9% | 28.8% | 48.3% | 17.6% |
| 7m以上 | 359 | 34.3% | 25.3% | 44.0% | 17.9% |
戸田でも、風が強いほど逃げは減る(42.2%→34.3%)。ただし、無風の戸田の逃げ42.2%は、他の23会場の7m以上(44.0%)と同じくらいの水準だ。95%信頼区間は、戸田の無風が39.9〜44.5%、他会場の7m以上が42.7〜45.3%で、重なっている。
戸田の特徴は、風が無くてもまくりが多いことだ。無風でも24.7%で、他会場の14.0%より10ポイント以上高い。戸田が荒れる理由は、風だけでは説明できない。風が無い日でも荒れているので、会場そのものの性質が大きい、と読むのが数字に合う。その性質が何なのかは、このデータでは確かめていない。
風向の差は小さく、期間を変えると3割ほどに縮む
「この会場はこの風向だと荒れる」という話は多い。会場ごとに方位で差が出るかを確かめた。
先に書いたとおり、方位はコースに対する向きではない。全会場をまとめて方位別に数えても、風速3m以上で逃げは48.8〜52.3%の間に収まる。会場ごとに向きの意味が違うものを混ぜているので、この数字にはあまり意味が無い。
そこで、次の手順で会場の中で比べた。
- 風速3m以上のレースに絞る(無風や弱い風では、方位の意味が薄いため)。
- 期間を前半・後半に分ける。
- 会場ごとに、各方位の逃げが、その会場の平均からどれだけずれているかを出す。前半・後半とも100レース以上ある方位だけを使った。
- 前半で一番逃げにくかった方位を会場ごとに選び、後半でもその方位が逃げにくいかを見る。比べられる方位が3つ以上ある20会場で行った(方位は会場ごとに3〜6個)。

20会場で、前半に一番逃げにくかった方位が会場平均より何ポイント低かったか(縦軸は低い幅なので、本文の「差」の符号を反転して描いた。4.4pt低い=差−4.4)。風速3m以上。2024-01-01〜2026-10-03 の152,986レースのうち、風速3m以上の78,981レースを使った。
前半に選んだ方位は、平均で会場平均より4.4ポイント逃げにくかった。同じ方位を後半で見ると、差は1.2ポイントに縮んだ。
- 後半でも会場平均より逃げにくかった(差がマイナス)のは、20会場中15会場。
- 後半でも一番逃げにくい方位のままだったのは、20会場中5会場(丸亀・尼崎・戸田・浜名湖と、別の方位と同点で最下位だった多摩川)。方位が会場ごとに3〜6個しかないので、でたらめに選んでも平均4.7会場は当たる。偶然と区別がつかない数だ。
全体の傾向としては、方位による差がまったく無いとも言い切れない。前半と後半の「会場平均からのずれ」の相関(2つの数字が一緒に動く度合い。1に近いほど強い)は0.23だった。方位のラベルを会場の中でランダムに入れ替えて同じ計算を200回すると、0.23以上になったのは4回だった。偶然だけで0.23が出ることは少ない。
ただし、風速5m以上に絞ると、相関は−0.18になった(ランダムに入れ替えた場合と区別がつかない)。強い風ほど方位の差が大きく出そうに思えるが、5m以上に絞ると件数が減り、差は見えなくなった。
方位の差は、あるとしても小さい。前半の数字で選んだ「荒れる風向」をそのまま信じると、差の大部分は次の期間で消える。 会場ランキングと同じで、たくさんの組み合わせの中から一番を選ぶと、偶然の分だけ良く(ここでは悪く)見える。
単勝の回収率: 強風では1号艇が下がり、外枠が上がる。どれも100%に届かない
最後に、お金の面から見る。風速帯ごとに、各枠の単勝(1着の艇を1つだけ当てる舟券)を毎レース100円買い続けたと仮定した。回収率は、買った金額に対して戻ってきた金額の割合だ。100%で収支ゼロ、それ未満は損になる。

フライング・出遅れ・欠場で返還された艇は、買わなかった扱いで除いた。2024-01-01〜2026-10-03 の152,986レース。
| 風速 | 1号艇 | 2号艇 | 3号艇 | 4号艇 | 5号艇 | 6号艇 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 無風(0m) | 91.2% | 72.8% | 67.9% | 67.9% | 63.0% | 34.4% |
| 1〜2m | 93.4% | 70.5% | 69.6% | 65.7% | 56.6% | 37.7% |
| 3〜4m | 90.6% | 73.7% | 75.7% | 72.0% | 66.6% | 39.5% |
| 5〜6m | 86.9% | 76.7% | 84.8% | 75.6% | 69.4% | 43.2% |
| 7m以上 | 84.1% | 84.7% | 84.5% | 75.3% | 65.5% | 46.8% |
1号艇は1〜2mの93.4%から、7m以上の84.1%まで下がる。前半(85.6%)も後半(82.1%)も、7m以上は1〜2mより低い。反対に、2号艇・3号艇は風が強くなるとおおむね上がる(3号艇は5〜6mと7m以上でほぼ同じ)。
風が強い日の1号艇の不利は、オッズに十分には織り込まれていない可能性がある。 ただし、2つの理由で、これをそのまま買い方には使えない。
- どの風速・どの枠でも、回収率は100%を割っている。 一番高い1〜2mの1号艇でも93.4%、強風の日の2・3号艇でも85%前後だ。競艇の舟券は、売上の一部を主催者が先に差し引いてから配当に回す。この差し引かれる割合を控除率と呼ぶ。控除率の分を超えるほどの偏りは、ここには無い。
- この記事の風速は、レースの時点で記録された値だ。 舟券を買う締切の前には、まだ分からない。締切前にも直前情報として風は発表されるが、以前、直前情報の風速とレース時の風速を突き合わせたときは、一致したのは45%だった(468レースだけの比較)。
測り方の詳細数え方と対象の決め方。読まなくても本文の結論は変わりません
- 期間とレース数: 2024-01-01〜2026-10-03。DBの最初の日付から、執筆日(2026-10-04)の前日までの全データを使った。
- 母集団: 決まり手の記録があり、3連単の払戻データがある152,986レース。DBの
raceテーブルにある同期間の155,184レースのうち、次の3つを除いた。 - 競走成績(風・決まり手など)の記録が無い1,957レース
- 決まり手が空欄の22レース
- 3連単の払戻が無い219レース
- フライングや欠場の艇がいるレースは含めている。
- 風速・風向: 公式の競走成績に、レースごとに記録された値。締切前の直前情報ではない。風向は方位で、風が吹いてくる方角か吹いていく方角かの定義は確かめていない。会場の中で方位どうしを比べる使い方なので、この記事の結論はどちらの定義でも変わらない。
- 風速の帯: 0m(無風)、1〜2m、3〜4m、5〜6m、7m以上。会場別の比較では、件数を確保するため0〜2mと5m以上の2つにした。
- 会場・年月をそろえた比べ方: 対象の風速帯のレース1件ごとに、同じ会場・同じ年月の1〜2mのレースの平均を基準として当て、それを平均した。基準が10件未満の組み合わせは除いた(7m以上では5,887件中588件が外れた)。
- 風向の再現テスト: 風速3m以上(78,981レース)。各会場・各期間で、方位ごとの逃げの割合から会場の平均を引いた値を使った。前後半とも100レース以上ある会場×方位だけを使い、24会場の96組が残った。一番逃げにくい方位を選ぶ手順は、方位が3つ以上ある20会場で行った。ランダムに入れ替える比較は、会場×期間の中で方位のラベルだけをシャッフルして200回計算した。風速5m以上の版は、前後半とも50レース以上の57組で計算した。
- 単勝回収率: 各枠の単勝を毎レース100円買った場合の、払戻の合計÷購入額。その枠の艇がフライング・出遅れ・欠場で返還されるレースは、購入に含めていない。
- 前半・後半: レース数でほぼ半分に分けた。前半は2024-01-01〜2025-05-18(76,369レース)、後半は2025-05-19〜2026-10-03(76,617レース)。
- 既刊記事との関係: 以前の記事(1号艇が負ける条件を分解した記事)でも、風が強いほど1号艇の1着率が下がる向きは同じだった。あちらは風速の帯の切り方も、集計した時点のDBも違うので、数字は同じではない。
- この記事の集計はすべて過去データを数えたもので、モデルの予測は使っていない。
まとめ
- 風速: 風が強いほど、逃げは決まらなくなる(1〜2mの55.3%→7m以上の43.4%)。同じ会場・同じ月で比べても7m以上で9.7ポイント下がり、前後半とも同じ向きだった。24会場中22会場で同じ向きだった。
- 決まり手: 逃げが減った分は、まずまくりに回る。7m以上では、差しと抜きも同じくらい増える。まくり差しはほとんど動かない。
- 戸田: 「荒れる戸田」は、風だけでは説明できない。戸田は24会場で2番目に風が弱いのに、無風の日でも、他の会場の7m以上の日と同じくらい逃げが決まらない(戸田でも、風が強いほど逃げはさらに減る)。
- 風向: 差はあるとしても小さい。前半で選んだ「逃げにくい方位」の差は、後半では4.4ポイントから1.2ポイントに縮んだ(3割ほど)。強風(5m以上)に絞ると、再現は見えなかった。
- お金: 強風で1号艇の単勝回収率は下がり、2号艇・3号艇は上がる傾向にある。それでも、どの風速・どの枠でも100%には届かない。
風を見るなら、風向より先に風速を見た方がいい。風向については、「この会場はこの向きで荒れる」という話を、1つの期間の数字だけで信じない方がいい。そして、戸田のように、風が無くても荒れる会場もある。
免責
- 本記事に記載した数値はすべて過去データに対する実測であり、将来の的中や利益を保証するものではありません。
- 本記事および言及したツールは分析の補助を目的としており、舟券の購入を勧誘するものではありません。
- 舟券は20歳未満の方は購入できません。
- 舟券の購入は自己責任で、生活に必要な資金とは別の、余裕資金の範囲で行ってください。のめり込みには十分ご注意ください。