競艇の失格は返還なし、フライングと欠場は返還。15万レースで数えた扱いの違い
自分の買った艇がフライングをした。転覆した。レース前に欠場した。そのとき舟券のお金は戻るのか。戻らないのか。
このサイトは、公開データと機械学習で競艇の舟券の収支を検証している。今回は収支ではなく、失格・欠場が出たレースの「扱い」を数えた。公式のルールで確かめたことと、データで数えたことを分けて書く。
先に結論を書く。
- フライング・出遅れ・欠場は返還、失格は返還なし。 これは公式サイトの用語辞典に書かれているルールである。スタート後の転覆・落水・エンストは失格の側に入り、返還されない。
- 返還の対象(フライング・欠場・出遅れ)が1艇以上出たレースは2.92%、失格が1艇以上出たレースは4.03%だった。6艇とも完走したレースは93.14%。
- フライングは1号艇が0.64%で、6つの枠で最も多い。失格は逆に1号艇が0.52%で最も少ない。
- 返還で艇が減ると、券種によっては「不成立」になる。返還にならずに残った艇が2艇のレース(43件)では、単勝と2連単以外のすべての券種が不成立だった。
- 1号艇の単勝を買い続けた回収率は、返還を「負け」と数えると90.35%、返還として外すと91.09%。数え方で0.7pt動くが、どちらも100%に届かない。
2024-01-01〜2026-10-11 の 154,427レース(926,562出走)を数えた。
公式の扱い: 欠場は返還、失格は返還なし
ルールは、BOAT RACE公式サイトの用語辞典で確かめた。
「欠場」の項には、欠場の理由としてフライング・出遅れ・展示不合格・病気やけがなどが並ぶ。そのうえで、こう書かれている。
欠場艇に関する舟券はすべて払い戻しとなる
「返還欠場」の項は、フライングと出遅れについてこう書く。
フライング(F)や出遅れ(L)の判定を下されたレーサーが、直ちにレースをやめて欠場すること。フライング、出遅れをした艇に関する舟券は全額返還される。
一方、「失格」の項はこうである。
スタート以降のボートに対する判定。欠場と違って舟券は返還されない。
失格の内容としては、周回の誤認・危険な転舵・転覆・沈没・落水などが挙がっている。「返還」の項にも、スタート後の転覆・落水・エンストでは返還はない、とある。
同じ転覆やエンストでも、「欠場」の項には「スタート時の落水、転覆、沈没、火災、またはエンスト」が欠場の理由として挙がっている。境目は、スタート時までか、スタート後かである。成績ファイルでは、欠場の側(F・K・L)と失格の側(S)が別の記号で入っている(次の節)。
ここで1つ、言葉の取り違えに注意したい。フライングは、公式の分類では「失格」ではなく「欠場」の側に入る。 「フライングで失格」という言い方をよく見るが、舟券の扱いで見ると、フライングは返還があり、失格は返還がない。正反対である。
出典: BOAT RACE オフィシャルウェブサイト 用語辞典「欠場」「返還欠場」「失格」「返還」(2026-10-12に確認)。
データの記号は4種類ある
このサイトのデータベースは、公式の競走成績ファイルをそのまま取り込んでいる。着順の欄には、1着〜6着の「01」〜「06」のほかに、失格・欠場の記号が入る。記号ごとに艇の数を数えた。

出典: 自前DB 154,427レース(2024-01-01〜2026-10-11)。公式の扱いはBOAT RACE公式の用語辞典
| 記号 | 意味 | 艇の数 | 1艇以上出たレース | 公式の扱い |
|---|---|---|---|---|
| F | フライング | 3,630 | 2,644(1.71%) | 返還あり |
| K0・K1 | 欠場 | 1,831 | 1,813(1.17%) | 返還あり |
| L0・L1 | 出遅れ | 83 | 79(0.05%) | 返還あり |
| S0・S1・S2 | 失格 | 7,519 | 6,231(4.03%) | 返還なし |
記号の意味(F・K・L・S)は、このツールの取り込みコードの注記に従った。K0とK1、S0〜S2の数字の違いが何を区別しているかは確認できていないので、この記事では区別しない。
ほかに「00」という値が17艇ある。これは後で書く「レース不成立」のレースで、フライングにならなかった艇に付いていた値である。
返還の対象が出るのは2.9%、失格は4.0%
レース単位で数えると、こうなる。
| レースの種類 | レース数 | 割合 |
|---|---|---|
| 6艇とも完走(01〜06) | 143,830 | 93.14% |
| 返還の対象(F・K・L)が1艇以上 | 4,511 | 2.92% |
| 失格(S)が1艇以上 | 6,231 | 4.03% |
| うち両方が出た | 145 | 0.09% |
返還の対象が出たレースのうち、1艇だけのレースが3,782件で大半を占める。2艇が512件、3艇が154件、4艇が43件、5艇が16件、6艇すべてが4件あった。6艇すべてがフライングだった4件は、全員が欠場の扱いになる。
年ごとに分けても、大きくは変わらない。
| 年 | レース数 | 返還の対象が出たレース | 失格が出たレース |
|---|---|---|---|
| 2024 | 55,368 | 3.21% | 3.99% |
| 2025 | 55,172 | 2.79% | 4.12% |
| 2026(10月11日まで) | 43,887 | 2.72% | 3.98% |
失格は毎年4%前後でほぼ一定である。返還の対象は2024年がやや多く、2025年以降は2.7〜2.8%だった。差の理由は調べていない。
割合を回数に直すと、返還の対象はおよそ34レースに1回、失格はおよそ25レースに1回出る。 1日に12レースを何場も買う人にとっては、珍しいことではない。
フライングは1号艇に多く、失格は外の枠に多い
枠ごとに、その枠の出走のうち何%がフライング・欠場・失格になったかを数えた。

出典: 自前DB 154,427レース(2024-01-01〜2026-10-11)。各枠の出走のうちFになった割合
| 枠 | フライング | 欠場 | 失格 |
|---|---|---|---|
| 1号艇 | 0.64%(981) | 0.16%(250) | 0.52%(803) |
| 2号艇 | 0.30%(462) | 0.21%(329) | 0.79%(1,221) |
| 3号艇 | 0.37%(571) | 0.19%(286) | 0.89%(1,371) |
| 4号艇 | 0.36%(558) | 0.19%(295) | 0.85%(1,319) |
| 5号艇 | 0.34%(528) | 0.23%(361) | 0.94%(1,449) |
| 6号艇 | 0.34%(530) | 0.20%(310) | 0.88%(1,356) |
フライングは1号艇が0.64%で、ほかの枠(0.30〜0.37%)の1.7〜2.1倍ある。欠場は枠による差が小さい。失格は1号艇が最も少なく、2号艇より外は0.8〜0.9%台に並ぶ。
1号艇のフライングは、1号艇を含む舟券がすべて返還になる出来事でもある。ただし、この記事では返還された金額そのものは数えていない(理由は次の節)。
返還の金額はデータに無い。残るのは払戻だけ
実際のレースを2つ見る。
2026年10月11日 浜名湖10R。 3号艇が欠場(K0)した。データベースに入っている払戻は、単勝1番が100円、複勝は1番・6番とも100円、3連単1-6-5が1,250円などである。100円の舟券に100円が戻る、いわゆる元返しが単勝と複勝で出ている。
2026年10月11日 津3R。 1号艇がフライング(F)だった。払戻は単勝3番580円、3連単3-2-4が2,330円など、残った5艇で決まった組だけが載っている。
どちらのレースも、公式のルールに従えば、欠場した艇・フライングした艇を含む舟券は返還されている。しかし、公式の成績ファイルには返還の金額が書かれていない。 載っているのは的中した組の払戻だけである。期間内の成績ファイル1,015日分を読んでも、「返還」という語は一度も出てこなかった。だから、このデータベースから「1レースでいくら返還されたか」は数えられない。
返還で艇が減ると、券種ごとに不成立が出る
成績ファイルの払戻欄には、数字の代わりに「不成立」と書かれた券種がある。2024-01-01〜2026-10-11 の成績ファイル1,015日分を読み、レースごと・券種ごとに、払戻が出たか不成立だったかを拾った。
それを「返還にならずに残った艇の数」で分けたのが次の表である。残った艇の数は、6からフライング・欠場・出遅れの艇の数を引いたもの。失格の艇は返還されないので、残った側に数える。

出典: 公式成績ファイル(K)の払戻欄・2024-01-01〜2026-10-11。「残り」はF・欠場・出遅れで返還にならなかった艇の数
| 券種 | 残り2艇(43レース) | 残り3艇(154レース) | 残り4艇以上 |
|---|---|---|---|
| 単勝 | 払戻あり | 払戻あり | 払戻あり |
| 複勝 | 不成立 | 払戻あり | 払戻あり |
| 2連単 | 払戻あり | 払戻あり | 払戻あり |
| 2連複 | 不成立 | 払戻あり | 払戻あり |
| 拡連複 | 不成立 | 不成立 | 払戻あり |
| 3連単 | 不成立 | 払戻あり(不成立2) | 払戻あり(不成立19) |
| 3連複 | 不成立 | 不成立 | 払戻あり(不成立19) |
※「払戻あり」には、後で書く「特払い」が出た少数のレースを含む。
残りが2艇なら、複勝・2連複・拡連複・3連単・3連複がすべて不成立だった。残りが3艇なら、拡連複と3連複が不成立だった。単勝と2連単は、完走した艇がいるレースでは一度も不成立にならなかった。
3連単には別の決まり方も見えた。完走した艇(01〜06)が2艇しかいないレースは64件あり、その64件すべてで3連単が不成立だった。 完走が3艇以上のレースでは、一度も不成立になっていない。表の「不成立2」「不成立19」は、返還では艇が残っていたが、失格が重なって完走が2艇になったレースである。3連複も、同じ21件で不成立になっていた。
ここまでは成績ファイルを数えた結果である。なぜこの艇数で不成立になるのか、公式の規定は確認できなかった。 公式サイトの用語辞典に「不成立」の項目は見つからなかった。表は「こうなっていた」という観測として読んでほしい。不成立になった券種の舟券がどう払い戻されるかも、この記事では確かめていない。
完走した艇が1艇もいないレースも22件あった。6艇すべてがフライングだったレースが4件、5艇がフライングで残る1艇に「00」が付いたレースが16件、失格でそうなったレースが2件である。この22件は成績ファイルに払戻の行が1つも無く、「レース不成立」と書かれている。
「特払い 70」という表記が99件あった
払戻欄には、もう1つ見慣れない表記があった。「特払い 70」である。期間内に99件あり、券種の内訳は単勝85件、2連複10件、複勝2件、2連単2件だった。金額の欄は99件すべて「70」である。
単勝で特払いが出た85レースの1着を見ると、6号艇が34回、5号艇が25回、4号艇が12回、3号艇が10回、2号艇が4回で、1号艇は0回だった。外の枠ほど多い。85レースはすべて6艇のうち1艇だけが1着で、同着ではない。
公式サイトの用語辞典には「特払い」の項目が見つからず、意味と「70」の根拠は確認できなかった。 1着が外の枠に偏るという観測だけを書いておく。
返還をどう数えるかで、回収率は0.7pt動く
自分で回収率を集計するときは、返還の扱いを決める必要がある。1号艇の単勝を、全レースで100円ずつ買い続けた場合で比べた。
| 数え方 | 買った回数 | 払戻の合計 | 回収率 |
|---|---|---|---|
| A: 1号艇がF・欠場・出遅れでも、100円の負けとして数える | 154,427 | 13,952,570円 | 90.35% |
| B: 1号艇がF・欠場・出遅れなら返還なので、買わなかったものとして外す | 153,176 | 13,952,570円 | 91.09% |
1号艇がフライング・欠場・出遅れになったレースは1,251件(フライング981・欠場250・出遅れ20)。公式のルールでは、これらの舟券は返還される。Aはその100円を失ったものとして数えているので、回収率を実際より低く見積もる。公式の扱いに合うのはBである。
1号艇が失格になった803レースは、AでもBでも負けとして数えている。失格は返還されないからだ。
なお、単勝が「特払い」だったレースのうち、1号艇が返還されていない83レースは、AでもBでも払戻0円として数えた。仮にこの83レースすべてで1号艇の単勝に70円が戻っていたとしても、Bの回収率は0.04pt上がるだけである(これは仮定の計算で、実際に1号艇の単勝に70円が戻ったかは確かめていない)。
差は0.74pt。小さいが、記事や比較の間で数字が食い違って見える原因になる。どちらで数えても、100%には届かない。
自前のデータベースでは、不成立と特払いが2通りの形で入っていた
集計を自分で書く人向けに、このサイトのデータベースで見つかったことを書いておく。
- 成績ファイルから取り込んだ行: 不成立と特払いの行は保存されていない。さらに、成績ファイルの冒頭にある払戻一覧(3連単・3連複・2連単・2連複の4つを1行に並べた表)は、4つのうち1つでも不成立や特払いがあると、その行ごと読み飛ばされていた。そのため、実際には払戻が出ていた2連単が218レース分、データベースに入っていない(2連複は169レース、3連単は156レース、3連複は9レース)。
- 当日の速報から取り込んだ行: 2026年9月以降のレースで、不成立が「組番=不成立・払戻100円」、特払いが「組番=特払・払戻70円」という行として13行入っていた。払戻の列をそのまま合計すると、これらも払戻として数えられる。
つまり、同じデータベースの中で、同じ出来事が「行が無い」と「文字の行がある」の2通りで入っている。払戻のテーブルを使う集計は、組番が数字かどうかを確かめてから合計したほうがいい。これまでの記事の数字への影響の大きさは、確かめていない。
もう1つ、番組表にはあるのに結果が1件も無いレースが1,957件あった。この記事の154,427レースには入っていない。中止になったレースが中心だと考えているが、1件ずつの理由は確かめていない。
この記事で確かめたこと・確かめなかったこと
- 確かめた: 返還と失格の扱いを、BOAT RACE公式サイトの用語辞典(「欠場」「返還欠場」「失格」「返還」)で確認した。
- 確かめた: 2024-01-01〜2026-10-11 の154,427レースで、失格・欠場の記号ごとの件数、レース単位の割合、枠別・年別の割合を数えた。
- 確かめた: 同じ期間の公式成績ファイル1,015日分の払戻欄から、不成立と特払いの表記を拾い、データベースと突き合わせた。
- 確かめなかった: K0とK1、S0〜S2の数字の違い。
- 確かめなかった: 不成立になる艇数の公式の規定、不成立の券種の払い戻され方、「特払い」の意味と70という金額の根拠。
- 確かめなかった: 1レースで返還された金額(成績ファイルに載っていない)。
この記事は、失格・欠場の扱いを数えたもので、舟券の買い方を勧めるものではない。このツールの検証では、試した買い方の回収率はいずれも100%に届いていない(2026年8月30日時点の実測で、3連単上位6点が78.4%、単勝本命1点が91〜92%)。
免責
- 本記事に記載した数値はすべて過去データに対する実測であり、将来の的中や利益を保証するものではありません。
- 本記事および言及したツールは分析の補助を目的としており、舟券の購入を勧誘するものではありません。
- 舟券は20歳未満の方は購入できません。
- 舟券の購入は自己責任で、生活に必要な資金とは別の、余裕資金の範囲で行ってください。のめり込みには十分ご注意ください。