9月の月報
結論を先に言う
9月の実測では、3つの買い方がすべて100%(損益分岐)を下回った。
- 単勝 本命1点: 回収率 92.0%
- 3連単 上位1点: 回収率 83.9%
- 3連単 上位6点: 回収率 81.1%
対象は2026-09-01〜09-30、結果が確定した4,593レース。数字は自動生成の月報(reports/report_monthly_2026-09-30.md)から取った。この記事のために集計し直したところ、すべて一致した。
回収率は、舟券に使ったお金に対して払い戻された割合のこと。100%でトントン、それ未満は損失になる。
9月の月報には、8月にはなかった特徴が1つある。予想に使ったモデルが、9月のレース結果を1件も学習していない。 8月の月報は「8月の結果を学習済みのモデルで8月を採点し直した」数字だった。9月は違う。だから、この連載の月報で初めて「見ていない月の答え合わせ」になった。
9月は、モデルが一度も見ていない月だった
月報を作るプログラム(src/article/periodic_report.py)は、win_model_final.joblib という本番モデルを読み込んで、その期間の全レースを採点する。
このファイルの保存日時は 2026-08-31 08:09 で、それ以降は作り直していない。保存の直前に取ったデータベースの控えを見ると、結果が入っていたのは8月30日まで。9月のレース結果は、学習データに入りようがない。
検証期間の(モデルの検証期間)で測った数字は、学習済みの期間で測った数字より信用できる。学習済みの期間だと、モデルが答えを覚えている分だけ成績が良く出るからだ。9月はこの条件を満たしている。
同じ理由で、10月1日〜12日も検証期間のにあたる。この記事では9月に加えて、10月12日までを追加で数えた。
買い方別の内訳

2026-09-01〜09-30・4,593レース(単勝は4,591レース)。
| 買い方 | 対象レース | 的中 | 的中率 | 投資 | 払戻 | 収支 | 回収率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 単勝 本命1点 | 4,591 | 2,646 | 57.6% | 459,100円 | 422,160円 | −36,940円 | 92.0% |
| 3連単 上位1点 | 4,593 | 439 | 9.6% | 459,300円 | 385,220円 | −74,080円 | 83.9% |
| 3連単 上位6点 | 4,593 | 1,672 | 36.4% | 2,755,800円 | 2,234,900円 | −520,900円 | 81.1% |
用語を3つ説明しておく。
- 単勝 本命1点: モデルがいちばん勝ちそうと見た1艇の単勝を、毎レース100円買う。
- 3連単 上位1点/上位6点: 1〜3着の並びを当てる3連単を、モデルの順位の上位1組/上位6組だけ100円ずつ買う。各艇の1着確率から2着・3着の確率を順に計算する式(Plackett-Luce)で並びを作っている。
- 控除率: 舟券の売上のうち、払い戻しに回らない割合。この連載の正典(
docs/03_findings.md)では全券種25%としている。
単勝の本命は57.6%の確率で1着になった。それでも回収率は92.0%で赤字だった。よく来る艇ほど配当が安いからだ。
単勝の対象が4,591レースなのは、2レースで単勝の払戻データが欠けていたため。欠けたレースを「外れ」と決めつけると回収率が実際より悪く出るので、月報はこの2件を対象から外している。
3連単上位1点の83.9%は、上位5件を抜くと77.6%
3連単上位1点の83.9%は、3つの中でいちばん長期の基準値から離れている(基準値は次の節)。ただ、これを「9月は3連単が良かった」とは読めない。
上位1点は1レースに100円しか買わない。だから、配当の大きい当たりが数件あるだけで月の数字が大きく動く。9月の的中439件のうち、払戻の大きい上位5件は次のとおり。
| 順位 | 払戻 |
|---|---|
| 1 | 13,560円(常滑 5R 4-1-3) |
| 2 | 4,110円 |
| 3 | 3,890円 |
| 4 | 3,770円 |
| 5 | 3,360円 |
この5件(合計28,690円)を抜くと、回収率は77.6%まで下がる。439件のうちのたった5件で、6ポイント以上動いていたことになる。上位6点で同じ計算をすると、81.1%が79.2%になる。
長期の基準値と並べると、9月は「いつもの範囲」
| 買い方 | 9月(4,593レース) | 10/1〜10/12(1,859レース) | 長期の基準値 |
|---|---|---|---|
| 単勝 本命1点 | 92.0% | 89.3% | 91〜92% |
| 3連単 上位1点 | 83.9% | 78.1% | 77.0% |
| 3連単 上位6点 | 81.1% | 75.5% | 78.4% |
長期の基準値は docs/03_findings.md の値。検証期間の約3万レース(3連単は29,750レース)で測ったもので、単勝は3つの期間に分けて再現を確かめている。ただし、データが増えるたびに検証の期間がずれるので、この値は測り直すと少し動く。最新の再計算(reports/track_record.json、2026-02-19〜09-01・29,815レース)では、単勝は90.5%だった。
9月は、3つとも基準値と同じか上だった(上位1点は+6.9ポイント、上位6点は+2.7ポイント)。10月1日〜12日は、単勝と上位6点が基準値を下回った。 上位1点は78.1%で、基準値の77.0%に近い。9月1日〜10月12日を合わせた6,452レースでは、単勝91.2%・3連単上位1点82.2%・上位6点79.5%になる。
9月に良く見えた3連単の数字は、10月前半には基準値の近くまで戻っている。この連載の別の記事でも書いてきたとおり、数千レース規模ではこの程度の上下はふつうに起きる。
「1号艇を機械的に買う」と比べると、差はほとんどない
競艇はインコース(1号艇)がとても強い。だから、モデルを使わずに「1号艇の単勝を毎レース100円買う」だけでも、それなりの数字が出る。モデルの本命と、同じレースで比べた。

2026-09-01〜10-12のうち、単勝の払戻がある6,450レース。
| 期間 | レース | モデル本命の回収率 | 1号艇固定の回収率 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 9月 | 4,591 | 92.0%(的中率57.6%) | 90.1%(的中率55.5%) | +1.9pt |
| 10/1〜10/12 | 1,859 | 89.3%(56.0%) | 92.5%(54.7%) | −3.3pt |
| 9/1〜10/12 | 6,450 | 91.2%(57.2%) | 90.8%(55.3%) | +0.4pt |
9月はモデルが1.9ポイント上だった。10月前半は逆に、モデルが3.3ポイント下だった。 合わせると差は0.4ポイントしかない。
差が小さい理由ははっきりしている。9月にモデルが本命にした艇は、4,593レース中4,221レース(91.9%)が1号艇だった。 9割以上のレースで、モデルと「1号艇固定」は同じ艇を買っている。
違いが出るのは、本命が1号艇以外だった残りのレースだけになる。
| 期間 | レース | モデル本命(的中率/回収率) | 同じレースで1号艇(的中率/回収率) |
|---|---|---|---|
| 9月 | 372 | 44.4% / 89.2% | 18.5% / 65.9% |
| 10/1〜10/12 | 153 | 41.2% / 80.8% | 25.5% / 120.4% |
| 合算 | 525 | 43.4% / 86.7% | 20.6% / 81.8% |
モデルが「1号艇ではない」と判断したレースでは、1号艇の1着率はたしかに低い(合算20.6%)。この見立て自体は当たっている。ただ、回収率は9月と10月前半で逆転していて、500レースほどでは、どちらが上かを言い切れない。
モデルを使わない場合の長期の数字
1号艇固定の長期の数字も数えた。2024-01-01〜2026-10-12の154,489レースで、的中率54.7%・回収率90.4%。
月ごとに区切ると、次のようになる。

2024-01-01〜2026-09-30の33か月・152,629レース。10月は途中までなので図から外した。
33か月の回収率は87.4%(2024年7月)〜92.5%(2026年7月)の間に収まっている。100%を超えた月は1つもない。 9月の90.0%は、低い方から数えて15番目で、真ん中より少し下だった。
(この節の9月は「単勝の払戻があるレース」をそのまま数えた4,594レースで、上の比較表の4,591レースとは母集団の定義が少し違う。そのため90.0%と90.1%で0.1ポイントずれている。)
信頼度帯別:見立てより堅く決まったが、回収率は変わらない
信頼度は、モデルが本命の艇に付けた1着確率のこと。9月の結果を、信頼度の帯ごとに並べた。

2026-09-01〜09-30・4,593レース。単勝回収率はモデルの本命1点。
キャリブレーション(「60%と言ったら本当に6割勝つか」という、確率の正確さ)で見ると、信頼度60%以上の帯だけずれている。モデルの平均は66.9%なのに、実際は72.2%が1着になった。モデル自身の見立てより、堅く決まっている。
このずれは9月だけのものではない。10月1日〜12日も同じ帯で66.6%→74.2%だった。別の検証用モデルで測った長期の数字(reports/track_record.json、検証期間の2026-02-19〜09-01・11,438レース)でも、66.4%→72.8%と同じ向きに出ている。
それでも、単勝の回収率は4つの帯すべてで91.6%〜92.4%とほぼ同じだった。信頼度60%以上でも91.6%で、帯を絞っても回収率は上がっていない。
この帯の本命は、ほぼすべて1号艇だった。同じ帯で1号艇固定を買っても、的中率72.2%・回収率91.6%と、モデルとまったく同じ数字になる。ここから先は推測になる。堅いレースは、オッズを決める他の購入者にも堅く見えている。だから配当が先に安くなり、モデルが当てても回収率は増えない。(オッズのデータで直接は確かめていない。)
信頼度60%以上で外れた529レースの中身
信頼度60%以上と判定した1,904レースのうち、本命が1着を外したのは529レース(27.8%)だった。本命は528件が1号艇、1件が2号艇。

2026-09-01〜09-30。信頼度60%以上の1,904レースのうち、本命が外れた529レース。
勝った艇は2号艇142件・3号艇161件・4号艇102件・5号艇84件・6号艇40件だった。いちばん多いのは隣の2号艇ではなく3号艇。 2号艇から3号艇で増え、4号艇から先で減る山型になっている。
決まり手(どう勝ったか)で見ると、偏りがもっとはっきりする。
| 決まり手 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| まくり差し | 177 | 33.5% |
| まくり | 155 | 29.3% |
| 差し | 129 | 24.4% |
| 抜き | 54 | 10.2% |
| 恵まれ | 14 | 2.6% |
まくり(外の艇が内の艇の外側を回って抜く)と、まくり差し(外から攻めながら、内の艇の間に切り込んで抜く)を合わせると332件で、外れの62.8%を占める。本命が負けたときは、外から攻めてくる艇に交わされた形が多かった。(スタートの遅れがどれだけ関わったかは、今回は数えていない。)
会場別の成績(24会場すべて)
月報の会場別の表に、モデルを使わない1号艇固定の9月と長期の数字を足した。並びは月報と同じで、3連単上位6点の回収率が高い順。良い数字だけを切り出さず、最下位まで載せる。
会場ごとのモデルの3列と「9月レース数」は2026-09-01〜09-30・計4,593レース。1号艇固定(9月)は同じ期間で単勝の払戻があるレース(計4,594レース)。1号艇固定(長期)は2024-01-01〜2026-10-12の154,489レース。
| 場 | 9月レース数 | 単勝 本命1点 | 3連単 上位1点 | 3連単 上位6点 | 1号艇固定(9月) | 1号艇固定(長期) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 若松 | 216 | 86.9% | 74.8% | 100.4% | 86.9% | 89.9% |
| 下関 | 168 | 104.8% | 152.2% | 98.6% | 101.5% | 94.4% |
| 大村 | 204 | 94.4% | 94.0% | 98.5% | 93.2% | 93.0% |
| 常滑 | 180 | 98.6% | 181.9% | 97.5% | 90.2% | 93.3% |
| 戸田 | 227 | 80.1% | 53.2% | 95.6% | 83.8% | 82.6% |
| びわこ | 215 | 97.7% | 85.4% | 91.1% | 99.6% | 89.5% |
| 浜名湖 | 191 | 93.1% | 56.7% | 90.0% | 87.1% | 89.2% |
| 江戸川 | 192 | 95.2% | 68.0% | 88.5% | 92.8% | 96.3% |
| 桐生 | 143 | 85.4% | 83.4% | 85.3% | 80.8% | 85.2% |
| 多摩川 | 228 | 98.9% | 93.9% | 82.9% | 89.3% | 93.4% |
| 宮島 | 192 | 92.3% | 77.2% | 82.2% | 86.1% | 91.5% |
| 三国 | 189 | 111.0% | 101.8% | 81.4% | 104.0% | 90.1% |
| 住之江 | 216 | 78.3% | 59.5% | 80.4% | 76.3% | 89.2% |
| 尼崎 | 264 | 95.1% | 95.0% | 78.4% | 95.9% | 95.4% |
| 津 | 232 | 93.4% | 54.4% | 76.1% | 93.0% | 92.0% |
| 丸亀 | 120 | 91.1% | 21.2% | 75.0% | 83.9% | 90.4% |
| 徳山 | 204 | 97.8% | 60.5% | 74.3% | 95.4% | 94.1% |
| 福岡 | 216 | 97.3% | 133.9% | 73.1% | 101.9% | 93.9% |
| 平和島 | 180 | 79.9% | 95.6% | 71.2% | 83.3% | 87.0% |
| 芦屋 | 168 | 94.3% | 88.4% | 65.2% | 91.8% | 86.2% |
| 蒲郡 | 168 | 90.2% | 86.6% | 64.7% | 86.1% | 90.8% |
| 鳴門 | 192 | 78.6% | 81.9% | 63.9% | 77.9% | 82.5% |
| 唐津 | 72 | 117.7% | 52.1% | 59.1% | 121.1% | 90.1% |
| 児島 | 216 | 72.9% | 43.2% | 55.8% | 74.2% | 89.1% |
表の中でいちばん極端な数字は、常滑の3連単上位1点181.9%。180レースしかないところに、9月の上位1点で最高の払戻(13,560円)が入った結果だ。前の節で見たとおり、上位1点は数件の大当たりで大きく動く。
この表から言えることを3つ書く。
- 100%を超えたのは、72マス(24会場×3つの買い方)中8マス。 3つの買い方がそろって100%を超えた会場は1つもない。たとえば若松は上位6点が100.4%だが、単勝は86.9%、上位1点は74.8%だった。
- モデルの単勝と1号艇固定(9月)は、会場ごとにほぼ同じ動きをする。 唐津は単勝117.7%・1号艇固定121.1%、三国は111.0%・104.0%。モデルの本命の9割が1号艇なので、モデルの力というより「その会場で9月に1号艇がよく勝った」ことが出ている。唐津は9月のレース数が72で、他の23会場(120〜264)よりずっと少ない点にも注意してほしい。
- 1号艇固定は、9月だけなら4会場で100%を超えた(三国・下関・福岡・唐津)。しかし長期(2024-01-01〜2026-10-12)では、24会場すべてが100%未満になる。いちばん高い江戸川でも96.3%、いちばん低いのは鳴門の82.5%だった。
1か月分だけを24会場並べると、どこかが必ず100%を超えて見える。たくさんの候補から結果を見て一番良いものを選ぶと、実際には差がなくても差があるように見える。これを多重比較の問題と呼ぶ。この表の上位を、来月も同じように良い会場だと考える根拠にはならない。
期間中の出来事
- 9月でいちばん払戻が大きかったレース: 蒲郡 10R(2026-09-06) 3-6-4 376,690円(決まり手: まくり差し)
- 本命の1着率が最も低かった日: 2026-09-18(50.6%・180レース)
- 本命の1着率が最も高かった日: 2026-09-12(64.1%・156レース)
同じ月のなかでも、本命の1着率は日によって13ポイント以上動いた。1日単位の成績は、1か月単位よりさらにブレる。
まとめ
- 9月(2026-09-01〜09-30・4,593レース)は、単勝本命1点92.0%・3連単上位1点83.9%・上位6点81.1%で、3つとも100%に届かなかった。
- 9月は、本番モデルが一度も学習していない月だった。月報が検証期間の答え合わせになったのは、今回が初めて。
- 3連単上位1点の83.9%は、払戻の大きい5件を抜くと77.6%になる。10月1日〜12日(1,859レース)は単勝89.3%・上位1点78.1%・上位6点75.5%で、9月の上振れは続いていない。
- モデルの本命の9割は1号艇で、「1号艇を機械的に買う」との差は9月+1.9ポイント、10月前半−3.3ポイント、合算+0.4ポイントだった。
- 信頼度60%以上のレースは見立てより堅く決まった(66.9%→72.2%)。それでも単勝の回収率はどの帯も92%前後で、絞っても上がらなかった。
- 会場別に見ると1か月だけなら100%を超える会場が出るが、1号艇固定の長期(154,489レース)では24会場すべて100%未満だった。
来月も同じ形式で答え合わせを続ける。良い月が来ても、悪い月が来ても、同じ基準で載せる。
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